生徒会役員の行方
「やっほー。ゆかりん」
「ごきげんよう、由香」
生徒会室で私を待っていたのは、現生徒会書記の水間あかり先輩と現生徒会会計の工藤愛和先輩だった。
「ごきげんよう、あかり先輩、愛和先輩。伊集院先輩はいらっしゃられないのですか?」
「実は妹君を追っていったよー」
あかり先輩は楽しそうに答える。
まあ、本当に仲のいい兄妹よね。
「会長に何かあるなら伝えておきますが?」
「ありがとうございます、愛和先輩。せっかくですが、先輩が戻って来るまでここで待たせてもらいます」
私は客用のソファーに座る。客用とはいってもここに役員以外が来ることはほとんどなく、去年は私や瑠奈専用のものだった。
「ようやく、生徒会長になろうって決心したのかな?」
「ええ。先輩がしつこいものですから」
私は苦笑する。
「なるほどねー」
二人の先輩は同じ役員なだけあって、伊集院先輩のことを良く知っているためか、私の笑いに釣られる。
「失礼しまーす」
「お、来たね、るなっち」
そんな話をしていると、生徒会室に瑠奈が入ってくる。
「あれ、由香も来てたんだ」
「ええ。会長に用があったんだけど不在らしいから、帰ってくるまで待っているの。貴方は?」
「あかり先輩に呼ばれたの。それで、どうしたんですか?」
瑠奈はゆかり先輩の方を向く。
「それじゃ、単刀直入に。るなっち、私は篠原瑠奈を次期生徒会書記に指名します」
「了解です!」
…………えっ!?
「ちょっと!? 軽すぎない!?」
「そういうものなんだよ、ゆかりん。だいたいゆかりんが固すぎるんだよ」
「そういうものなんでしょうか……?」
「あかり先輩の言う通りだよ。どうせ誰かが生徒会役員をしないといけないんだから。それで、書記に指名されたのが私。単なる確率だよ。確率」
なんだか、今まで本当に真剣に考えて、悩んできた私がバカみたいに思えた。
「これで、会長と副会長と書記は決まったね。あとは、会計か。愛和ちゃんは誰にするか決めてるの?」
「ええ。そろそろ来るはずよ」
そうこうしていると、生徒会室の扉が開いた。
「つれてきたぞー。お、由香ちゃんと瑠奈ちゃんじゃんか」
この人は樋口智也。現生徒副会長だ。
その後ろにはひとりの少女が。
「ごきげんよう、智也先輩。そちらは?」
「えーっと、この子は瀬之原葵ちゃん。あとは、そっちの愛和からお話があるから聞いてくれ」
「は、はいっ!」
瀬之原さんは控え目にお辞儀をする。第一印象は照れ屋な女の子といった具合かしら。
「瀬之原葵さん。私、工藤愛和はあたたを生徒会会計に指名したと思っているんだけど、どう?」
こちらも、単刀直入ね。
「え……?」
瀬之原さんは困惑しているようだ。まあ、突然そんなこと言われたら、そうもなるわよね。
「ひとつ聞いてもいいですか? 何故私なんですか?」
「貴方が成績優秀だから、くらいしかないわ」
「成績が優秀なら、他にもいたのではないですか? 伊集院さんとか……」
「あの子はお察しよ。大体、後任を決めるのって成績くらいしかないから。嫌なら、拒否権くらいはあるわよ」
瀬之原さんはかなり悩んでいるようだったが――
「わ、わかりました! やってみます!」
意外とあっさり決まるものなのね……
「これで、全員決まったね。次の朝礼で紹介かな?」
「そうね。会長が戻ってきたら、流れだけでも確認しておきましょうか」
こうして、次の生徒会役員が決まったのであった。が――
「お嬢様。少々よろしいでしょうか?」
生徒会室に絢介が入ってきたのであった。




