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ロスト・ディザイヤー  作者: 黒緑 蒼紅
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能力の始まる1ページ

「脈拍数減少中!血が止まりません!」

「輸血だ!輸血をありったけするんだ!それから電気ショックの準備だ!それとあの人にも連絡をいれろ!」

『はい!!』

一人の少年が運ばれ、慌ただしい空気が病院の中を駆け巡る。7歳の少年には、あまりにも大きすぎる激痛が彼を襲い、呻き声が漏れる。

「損傷した右腕と左足はどこだ!?」

そう言うと医者は少年の右腕と左足を見た。そこにはあるはずの右腕と左足は無く、奇妙な傷痕だけが残っていた。いや、それは傷痕と呼べるものではなかった、まだ素手で引きちぎられた痕の方が、理解できるだろう。少年の傷痕はあまりにも綺麗すぎた。

「どんな能力なんだ…………」

医者の男は自然とそんなことを呟いていた、

2015年の世界、人類の科学力はついに超能力の開発に成功したし、さまざまな特殊な怪我などを見てきた医者だったが、逆に綺麗すぎる怪我など事例を聞いた覚えがなかった。

つまりそれは、下手に手を出すことが出来ないことを意味していた。呪いや腐蝕の能力など医者に手を出させない能力の可能性があるからだ。

さまざまな考察が医者の頭を飛び交い、医者の頭を最悪の事態がよぎった。そのとき、

「まったく、ただの急患だろう?慌てることないだろうが……と言いたいところだが、親族が正体不明の能力で怪我をしたと、聞くと流石の私も手が震えるよ」

そういって現れたのは、長い茶髪を後ろに束ねただけで、他人の目などまったく気にしていない風貌ふうぼうの白衣の女だった。

吉村よしむら先生!来てくれたんですか!」

白衣の女が現れただけで、現場の緊張の糸が緩む。

それもそのはずだ、彼女は能力の生みの親であり天才医師、吉村よしむら かおりの実の娘であり。本人も親の才能と親から授かった能力を持っており、どんな難しい手術も片手間で成功させた実力をもつ天才、吉村 ひびきなのだから。

「さて、このまま手術といきたいところだか……」

そう言って、響はいまだ辛そうに呼吸する少年に近づくと、酸素マスクを毟り取った。

『!?』

医者とは思えない行動に、周りは唖然とするが、響は気にせずに語る。

「確かに、君と私は親戚の関係にあたるが……私個人としては、その怪我の原因に興味があってね。出来れば、この手術が失敗し死人となり、語れなくなる前に教えて欲しい。何が原因だ?」

半ば脅しのような響の質問に、少年は虚ろな目を開けた。

そして、残った左手で虚空を仰いだ。

「…………出来れば声で教えて欲しいね、何のために酸素マスクを取ったんだと思ってるのかい?それとも、この中に犯人がいるのかい?」

響は肩をすくめながら言った。

しかし少年は、何かを訴えるように虚空を指差しながら、必死に声を絞り出そうとする。

「……そっ………その……煙…………」

?と響の顔に疑問が浮かぶ。少年が指を指す先には何も無い。

「余りの激痛に幻覚を見ているのか?」と周りの医者達は想像したが、響だけは少年はしっかりとした目で、その指で、空を指差していることに気づいた。そしてある答えにたどり着く。

医者としてでなく、超能力の研究者として。

「君だけに見えるのかい?その煙は?」

少年はも話すことも出来ないほど衰弱していたが、たしかに力強くうなずいた。

「そうか……‥よく話してくれたね」

そう言うと、響は少年にマスクを付け優しくその頭を撫でた。そして、まだ疑問符だらけの医者達に告げる。

「さぁ、失敗の許されない手術オペの開始だ。…………この子だけは絶対に助ける」

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