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我が家が一番!  作者: 津村ん家の婆ァ
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三話目 ちび竜のオトモダチ♪⑤



 気になった事はすぐ聞こう、というわけでオーレ爺ちゃんへ即質問! 返ってきた答えは三姉妹と娘たちの機嫌の良さだって。私とルムック兄弟が帰宅したあと、三姉妹がゴミ拾いしてきたんですって。


 拾ってきたゴミは娘たちが丁寧にプレス───というよりもサッカーのドリブル───して、国軍が仕分け───証拠とも云える拘束具の確保と、怪我した犯人達を手当てして拘束と尋問───したらしいわ。…うわぁーぉおぉぉ、訊くだけで痛そ~。


 怪我による痛み、包帯と縄に物理的に拘束された犯人達は、のぞみ達のお仕置き(+ルムック兄ちゃんの攻撃)で精神的にも堪えた様で、あっさり私を火吹き竜と判って、故意に捕獲したことを白状したんだって。他にルムック二頭、カムフォーン、ドーンゴアを捕獲していたことも白状したって。うや?


「オーレ爺ちゃん。カムフォーンって、フッサリしたしっぽと、とんがった耳をしてる?」

「あれ、ちびは知らんのか?」

「見た事ないの。荷台に居たのは私とルムック兄弟。さっき言ったのと背中に硬い帽子を乗っけたのと、三本足の鳥がいたのよ」


 村でも旅先でも観たことが無いと云うと、オーレ爺ちゃんの顔が怖くなった。


『どれも魔獣だよ、チビ』

『うや、こだま知ってるの?』


 聞くとどれも有名な魔獣なんだって。

 背中に硬い甲羅を乗せたのはカムフォーンって呼ばれてね、地域や環境によって姿は色々。共通するのは背中に甲羅が在る事と、ものっすごい長寿。滅多に暴れることなどない温厚な性格だけに怒らせると竜ですら手が出せない暴れっぷりを見せるんですって。一番驚いたのは私の見掛けた大きさで三百年位かもな、の一言。人は見掛けによらずってことかしらね~。


 因みに三本足の鳥はドーンゴアって呼ばれる珍獣とされる鳥で、カメレオンみたいに周囲に溶け込む色合いを持っているのだそう。抜けた羽は漆黒の地色に緑から紫色のエナメルってかメタルちっくな感じみたい。一時期は大陸から姿を消すほど乱獲されたらしくて、現在は何処かの国の保護区か、国からの許可を得た機関にしかいないんですって。カーバイト国だと王都の魔獣対策機関位だそうよ。


 キツネに似ていたのはクルービーって云うらしいわ。昔から毛皮が人に人気だけど、絶滅するほど乱獲はされてはいないみたい。まあ、可愛いげがあるのは成獣になる迄で、大人になるとデッカイ牙に狂暴な性格も伴って、正に魔物になるからねー。と、言われれば納得するわ。うん。

 可愛くても狂暴なのは、ちょっともふもふするには危険かもね。


『因みにルムックも人嫌いで有名な魔獣なんだよ?』

『そなの?』

『ま、ゴミはようけ蹴り転がしたけ、トドメ、刺したらエエわ?』


 何気に三姉妹もおかんむりだったんだね。みんな、目が怖いよ!


 そんな私的感情たっぷり籠った事後報告を交わしながら、宴会場となっている広場にやって来ました。そこはまさしく忘年会のどんちゃん騒ぎ真っ最中。酔っ払いがいないのは、然程お酒は振る舞われていないのから。


 オーレ爺ちゃんが皆に私を連れてきたと宣言したら熱烈歓迎されちゃったわ。三姉妹の運んできた唐揚げを出したとたん上がるこの歓声。あ、こら。一点集中で群がっちゃダメよー?


 更に焼鳥も出すと、いつもの質問攻めが始まりました。皮串は塩と胡椒のシンプルな仕上がりに。このままでもうまいけど、エルルーの果汁をつけてもいけるわよ。皮付きの素揚げ芋を荒く潰して、マヨネーズをかけたポテトサラダもどうぞ。蒸し野菜なら私がソッコー作ります!


 ちなみに焼鳥は今回初御披露目です。ご賞味あれー!



 村の人も合わせて和気藹々(わきあいあい)としてるのでお子様もあちこちで参加の模様。あ、ティハのバター焼きしてる。豚汁の臭いもするわ、あら焼うどんも有るのね。あ、うどん頬張っているのはニオブさんだわ。


「ちび竜さんですな?」


 声の方へ振り替えれば、眼光鋭いスキンヘッドのおっちゃんと、冴えないおっちゃんが揃いの格好で此方を向いています。


「うや、そう呼ばれてます。今回は皆様にご迷惑をおかけし」

「貴方があの唐揚げの考案者の方とお聞きしました、是非お話しを!」

「エポキシ副隊長、主旨が違ってます。今回の事件の概要説明です。任務と私欲を混同なさらないで下さい」

「しかしだな、王都で子供から年寄り、平民から貴族まで虜にしたと話題の食べ物の考案者だぞ? あの王妃様のお茶会で今や知らぬ者の無きチーズせんべいなる菓子の考案者とも言われてる方だぞ?」

「あなたの私欲は王命よりも価値が在ると言うならどうぞ。ですがこの会話すら公式の記録に残る事をお忘れなく!」


 眼前で繰り広げられるスキンヘッドのおっちゃんと冴えないおっちゃんの会話中に、何やら訂正したい発言が聞こえるのは、きっと空耳だよね。


「うぬぅ、やむを得ん。後程、是非に話を聞かせて頂くのは譲れんぞ」

「それは副隊長ご自身で交渉為さって下さい」


 何だか面倒な事になりそうな予感がするわねー、うん。


 話を聞きたがるエポキシ副隊長───冴えないおっちゃん───と、スキンヘッドのおっちゃんの話を簡単に纏めると、ニオブさんと村のおば様方でこの村を保護区申請したのがついこの前で、保護対象になったのはフロストリーフと何故か私。理由は私のご飯、つまりはニオブさんとステアさんの持ち帰るお土産が王都で人気だかららしいの。ただの日本の家庭料理なのにね~。


 んで、私に関してだけ国軍第三部隊、ステアさんが所属している所が常駐員を置くことになったのは、何と王命なんだって。うっひゃー!?


「甘い菓子が苦手な王妃様が、旨いと誉められたチーズせんべいなるものを、王が殊の外喜ばれてな」

「ステアさんの持ち帰るお土産が王様の口に入るなんて、普通なの?」

「タングステン村産の土産に関しては必ず王族に献上される。因みに味噌味のまめまんじゅうがハーテ王のお気に入りだな」

「それ、この前作ったわ。んじゃ先日作ったクッキーは?」

「かなりお気に召したご様子で、お二方より是非にとお言葉を頂いております」

「…小麦粉と卵が無いから無理。バターだって作るのは私にとってスッゴク大変なのよ?」

「そこを何とか」

「なりません! 出来ないものはできません、大人なんだからわがまま言わないで下さい。村の子供達が真似したら責任とってもらいますよ?  この国の王様は我慢できないお子様じゃないでしょ? 材料の流通自体、この村では王都と雲泥の差があるんです。あなた方の当たり前を通すなら、この国の全ての流通及び生活環境を等しくしたうえで、正式な依頼として出すなら考えましょう? 大体私じゃなくったって作れるものばかりじゃないですか! 何より王都にいる料理人さんは私よりもお料理上手でしょ、いろんな食材知ってるでしょ、何より王様の好み知ってるでしょ。何で作れないのよ?」


「チビ竜ちゃん、熱くなりすぎ」

「熱くだってなるわ、美味しいものに関して私が妥協すると思う?」

「そりゃ無理じゃな。何せ旨そうと思えば猛毒のペルロだろうが口にするしのう」


 ジェーン婆ちゃんの一言に制服組は目を向いて此方を見るって。え?


「あれは三時間灰汁抜きして、しっかり天日干しするとスッゴク美味しくなるのよ。毒素は熱に弱いから、灰汁抜きの時点で抜けるし、一旦干すから旨みもぐんと増して、保存もきく。お鍋に入れてもいいし、味噌汁にしたらサイコーなんだから」


 因みにペルロは猛毒、淡桃色のカラーに似た花をつけるの。観賞用なら特に問題ないけどねー。センセーが教えてくれたの。特に根っこは毒が強くて危険ですって。


「ペルロを食すですと?」

「そこまでここの食事事情は厳しいのか」


 眉間に皺寄せてスッゴい勘違いしてるスキンヘッドのおっちゃんには悪いけど、訂正するからね‼


「あ。チビ竜ちゃんのみ、食事に煩いです。おかげで旨いものにありつける恩恵を受けてます。正に食の開拓者ですよ」


 うや、マミちゃん。今回は正しいけど、それだと私がとてつもない食いしん坊って聞こえるよぅ?

しかも誰も否定しないって、みんな頷いているって、酷くない?


 ちょっとふて腐れながらも豚汁を貰って、ウマウマと啜って居る間に、エポキシ副隊長さんと村長さん達で唐揚げ&焼鳥祭の開催が企画され、村からも出店することが密かに纏まっていたようです。村の味は王都とは一味違うようで、しきりにレシピを欲しがっていたとか聞いてます。


 焼鳥の感想やらは概ね好評ですが、 元となる鳥によって味付けは変えた方がいいとアドバイスを頂いても、そもそも私に血抜き作業はとんと無理。そしたら鶏肉の手配をするから調理をと言われてしまいました。そりゃダチョウと鳩なら味、違うかもしれないけど、私味見から始めないとわからないわ。


 今回はいいお勉強になったと思って、取り敢えず一通りあいさつを交わして、皆さんにお礼を伝え、食べ終わった器を返して、三姉妹に付き添ってもらいながら帰宅しました。


 ニオブさんとステアさんは、冴えないおっちゃんに捕まり、そのまま宴会に引きずり込まれてました。多分悪巧みしてるんでしょう。責任を私に押し付けないなら勝手にしてください。




 お家に入る前に作業小屋の お風呂を沸かして、色んな匂いを落としましょ。普段は畑作業の後に入るんだけど、今日は病人が居るからね~。


 まず手頃な石を用意して、火にくべます。赤くなる迄しっかり焼いたら、予め用意しておいた水の入った湯船に投げ込んで、適温にします。

 毛糸で作ったたわしを片手に入浴してますよー、ふっふふん♪


 因みに石鹸は有りません。代わりに灰を水に浸したモノを濾してから、団栗みたいな木の実を擂り潰して作った粉とあわせて使う洗い粉なるものがあります。これが無味無臭で、よく落ちるのよ~。しかも、お洗濯から食器、赤ちゃん迄何にでも使えるけど、食べ物と、口の中を洗うのは止めておいた方がいいわ。味が変になったもの。


 何でも今はとっても有名な賢者さんが大陸規模で広めた代物で、とっても環境に優しい上に低コスト。この団栗の木は大陸のどこでも見られるスッゴくポピュラーな代物だから、誰でも簡単に入手出来るの。アリガタヤアリガタヤ~!


 さっぱりしたところで、お家に入りましたがルムック兄弟はすぴすぴと寄り添って眠ってます。穏やかな眠りは妨げてはいけませんので、今日は居間でねましょうかねー。あ、ルムックちゃんのご飯も無くなってる。食べてくれたんだ~!


 明日は肉団子にしてみようかしら、それともお野菜が良いのかしら?


 これだけご飯食べれるなら、すぐに元気になるわねー。ちょっと寂しいけど、いいことだもの。お水を替えて食器を下げ、そおっと去ろうとしたら


『だぁれ?』


 可愛らしい小さな声がしたの。


『うや、起こしちゃった?』


 声を潜めて返したら、ぽんやりした円らなお目目のルムックちゃんがこっちを見てたわ~!


『だぁれ?』

『チビ竜ちゃんって呼んでもらってるわ。具合どう?』

『具合?』

『気持ち悪いとか、お腹痛いとか、お腹すいたとか、ある?』

『食べたから大丈夫。おいしかった~』

『そっか。怠かったりする?』

『へーき、すごく眠いの』

『じゃあ、寝てていいよ?ルムック兄ちゃんも側に居るし』

『兄ちゃん?』

『お隣で寝てるよ?』

『…フーくんだよ?』

『お友達?』

『うん、いつも一緒なのー』


 ほにゃ、と無垢に笑う顔はホントーに内心悶えました!


『今日はいっぱい休んでね、明日またご飯作るからね。また食べてくれる?』

『またおいしーのくれるの?』

『良かったら食べて? フーくんも食べてくれたのよ』

『わかったー、えっと、りゅーちゃん』

『りゅーちゃん?そう呼んでくれるの?』

『うん、りゅーちゃん』

『えっと、ルムックちゃんはなんて呼んだらいいのかしら?』

『んと、フーくんは、チビって云うよ?』


 チビ竜ちゃんとチビ、混同しそうなのでルムック兄ちゃんが、目が覚めたら改めてどう呼ぶか考えることになりました。


 んでそのままコテンと、寝落ちしたルムック達に何故か挟まれて寝ていた私。起きたのは朝日が顔を出した後でした。…恐るべし、フワモコ天国となった私の寝床。そして、何故か私の抱き枕が、遠くに投げられているのかしらねー?




       *******




 あれから、新たな村の住人が増えました。

 王都から駐在員として国軍第三部隊の人が常に三名待機するそうです。そのうち二名は定期的に交代するそうです。残り一名はステアさん。理由はニオブさんが此方に住むと駄々を捏ねた為にだそう。簡易ゲートを使ってあちらに出勤するのだそう。帰りに食材を買って帰るので、王様からの依頼品を作ってくれ!って、いいのかしらねー?


(因みに村営商会『タングステン村・主婦の会』が王様と書類による契約をしっかり交わしたそうなので、何も問題ないわよと、ワイフちゃんに云われました。村の女傑達は勇者じゃなかろうかと思います。)


 更に、私の家にルムック兄弟が住む事になりました。密猟者に住む場所と仲間を奪われたので、行き場は無いと言われちゃったので、つい居たいだけ居ていいよと言っちゃいました。


 更に、人は嫌いだけど人にも色々居るからと、ひかり達に色々諭されたそうで。日中はご飯を食べたら羊達の元へ、日が暮れたら私の処に来る生活してます。


 そうそう、二人の名前は私があだ名として付けました。本当の名前は契約になってしまいますからねー。


ルムック兄ちゃんは(ふう)ちゃん

ルムックちゃんは(らい)ちゃん


 雷ちゃんは電気がビリビリ出せるんですって。しかも制御がまだヘタッピなので練習中。主に麦を作る予定の畑で頑張ってます。。


 来年は小麦を試験的に作って、村の主産物にできないか検討するんですって。ほら、魔物避けの街灯を作ったじゃない?

あれのお陰で畑を広げて見ようって話になったとか何とか。


 流石に魔物避けはルムックちゃん達にはキツいので、マミちゃんに頼んだ結果、予定地はまだ設置してないからと練習場所となりました。風ちゃんも精度をどんどん上げているそうで、草刈りが凄く上達したと、こだまが誉めてました。


 村の人も二人を気遣って必ず声掛けして、近寄らない様にしてくれてます。子供達もルムックから近寄らない限り、離れて声を掛けてくれるんです。


 いつまで居てくれるか判らないけど、せめてこの村に居る間は怯えずに居られたらいいんだけどね




この話はフィクションです。

作中の石鹸擬きはあくまでこのお話の中だけの事です。実際に試されても効果は保証出来ません。

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