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まっくろまくろなましろくん  作者: しゃーむ
40/42

僕と彼女 その2

 学校は冬休みとなり、それと同時に世間はクリスマスイブという誰かの誕生日を祝う日の前夜祭で盛り上がりを見せている最中だった。

 その一年に一度の特別な日を特別なものとして迎えられる人と、言ってしまえばただの平日として過ごす人の割合はどちらの方が多いのだろう。暦の上では正真正銘平日だ。寒空の中でもサラリーマンはせっせと働いている。

 この日に運良く暇を持て余すことができて、かつ特別な相手がいる場合のみ、このクリスマスイブという日は特別なものになるのだと思う。

 少なくとも去年までの僕にとってはただの平日だったり休日だったり、それだけだった。

 僕がいる施設ではクリスマスパーティーなどが行われていたけれど、まあ僕のような人間が参加するはずもなく、部屋にぽつんと置かれたワンカットのケーキを食べていた、それだけの特別な日だった。たまにまだ施設に入りたてでみんなの輪の中に入れない子供を僕が相手したりすることもあったけれど、その子も一年経てばすっかり仲良くなって変わらないのは僕だけだったという記憶があったりなかったり。お粗末さまでした。

 特別な日を特別な一日にするための条件である、恋人、家族、そのどちらも僕には欠けていたのだ。

 だけど今年は違う。

 なんたって彼女がいる。

 可愛いくぁわいい彼女がいるのだ。

『真黒くん、ほんとごめんなさい! どうしても家の用事で抜けられなくて……。あとで必ず行くから待ってて! 終わったら連絡する!』

 とまあこんな感じの電話をいただいたのは僕がすでにクリスマスデートの待ち合わせ場所に着いたあとだった。

 待ち合わせ場所で待ちぼうけ。

 これもまた初めての体験だった。

 まだ昼間だけれど、もちろん健全なる交際を続けている高校生の僕たちがデートするのは昼間なんだけれど、周りにはすでに暑苦しいカップルがうようよいた。

 ここは繁華街の入り口で小さな公園らしき敷地があり、よくよく待ち合わせに使われる場所だ。分かり易いけれど、どうしてこの場所を待ち合わせ場所にしたのかとりあえず彼女が来たらそこから始めよう。

 こんな中でひとりぼっちなど、今までだと絶対に気にしなかったのに、彼女がいる立場になってみると自分の置かれた状況がひどく惨めに感じられた。

 なんにせよ、外でひとりで暇をつぶす術を見い出せない僕は、ただひたすらに彼女からの連絡を待っている最中だったのだ。

 勉強にはなる。

 僕と同じようにお相手を待っている人もいるのだけれど、僕はその人らの遅れてきた相手に対する対応を観察しているのだ。

 冗談交じりに遅いとか言ったり、今来たところとか常套句を持ち寄って同じように待っている奴から見ればばればれの嘘をついたり、文句を言うどころか逆に遅れてきた相手のことを心配していたり、まあ様々だった。

 なんだかなぁ。

『黒』が見えている僕にしてみれば、いい茶番だった。苦労しているなと、待っていた相手を見て思ったり遅れてきた相手を見て思ったり、恋人と過ごすために『黒』を濃くしたって仕方ないじゃないか。それこそ、お互い『白』いっぱいで過ごしましょうよ。

 そんな、人間観察ならびに恋人観察ならびに『黒』観察を続けてかれこれ一時間以上が経った。

 寒い。

 そろそろ本気で一旦帰ろうかと考え始めた頃。

 身動きを封じられた。

 そう言えば物騒な物言いだけれど、何者かが僕を背後から抱き締めてきたのだ。

「容疑者確保です」

 なんだか懐かしく思える香水の香りと共に、少しだけ鼻にかかった声が聞こえた。

 聞き覚えのある声だった。

 主に電話の向こう側で聞いていた声だった。

「……離してください」

 僕がそう言うと、後ろからは小さく笑う声が漏れた。

「あらあら、私は容疑者確保と言ったはずですよ。このまま署まで連行させてもらっちゃいます」

「容疑はなんでしょう。僕の身の潔白は僕と同じように一時間前から泣きそうになりながら誰かを待ってるあの人に聞けばわかります」

「証人がいるのなら仕方ありませんね。誤認逮捕でした」

 そう言って、清水寺おねーさんは僕を解放した。

 解放された僕は、どうするか一瞬迷って、後ろを振り返った。

「……アラサー……」

「あらあら、女性を目の前にしてまずは年齢の話しからですか。真黒さんはまだまだ女心がわかっていませんね」

 思わず口に出してしまったのも仕方がないことだった。

 僕の記憶にある清水寺さんの姿とは全く違う人物がそこにいたのだ。

 以前お会いしたときはゆるくスーツを着ていてさらさらの茶色の髪を風になびかせていて綺麗なおねーさんという印象だった。

 ところが今は落ち着いた色だけれどだぼだぼのズボンを履いてキャップを被りパーカーを着ている。十代に見間違われてもなんらおかしくはない風貌だった。

「非番ですか?」

「非番という名の巡回中です。数時間も前からこの場所にいて動かない人物がいたので思わず確保しちゃいました」

「数時間もいねえよ」

 清水寺さんはクスクスと声を出してにんまり笑う。仕草だけはスーツを着ていた時と変わりはなかった。

「こういう特別な日は忙しそうですけどね」

「まあうちの部署は男性ばかりなので。私は部署内の紅一点なので今日はお休みなんです」

「男女差別ですね」

「うちの男性陣は見栄っ張りが多いんですよ」

「見栄?」

「ほら、イブに相手がいなくても仕事だからって言い訳できるじゃないですか」

「ああ……」

「帰りにひとりでコンビニに寄っても仕事帰りなんだって思われるじゃないですか。それが休みになっちゃうと仕事帰りを装ってコンビニに行かないとならなくなるんです。大変ですよねぇ」

「彼女がいることがひどく申し訳なく思ってしまうのでそういう話しはやめてください」

「その点私はお相手を見つけられたのでよかったです」

「それはそれはおめでとうございます。目指すは寿退社ですね」

「まあ。私と結婚してくださるんですか?」

「誰がじゃ」

「ふつつかものですがどうぞよろしくお願いしますね」

 だから、この人はほとんど『黒』に変化がないからやりにくいのだ。本心以外の言葉を平気で並べて平常心を保っていられるいやーな大人だ。

 だからこちらから揺さぶりをかける必要があるのだ。

「本当にお休みなんですか?」

 若干、清水寺さんの『黒』が変化した。本当に若干だけれど、一瞬の間と『黒』で僕にはわかるのだ。

 尋ねられると、どう答えようか考える。自然に考えてしまう。本当に休みならば迷うことなく答えられるはずだけど、そうでないならどう肯定の言葉を取り繕うかの判断が一瞬入るのだ。

「そうですけどなにか?」

 期待の眼差し。期待の微笑み。僕の答えを期待している。

「いくらなんでも若作りし過ぎじゃないのかなーって」

 この意味をどう捉えられたかはわからないけれど、清水寺さんは本当におかしそうに笑った。

「やっぱり無理がありますかねぇ」

「まあ、何か理由があるんでしょうけれど、あんまり関わりたくないというのが本音です」

「正直者ですね。ご心配なさらなくても、もう関わってしまっていますよ」

「おい」

 刑事だからなのか清水寺さんだからなのか、僕のことを何かしら特殊だと気付いているこの人と行動を共にすることはあまり好ましくない。電話越しならまだしも、直接絡んでしまったはいつ完全に見透かされてしまうものやら。しかしながら、刑事という立場から言えば、僕のような特殊な人間がいることなど信じないものかもしれないな。そうだとしたら、そうであって欲しいものだけれど。

「少しの間だけでいいので、私と恋人のふりをしてくださいな」

「嫌です」

「即答ですか。少し傷つきました。私、そんなに魅力ないですかねぇ」

「恋人のふりなら署内で寂しい思いをしている同僚の方にお願いすればいいじゃないですか」

「嫌ですよ。勘違いされたらどうするんですか」

「労働精神をしっかり保つように言ってください」

「だってこんなふうに」

 そう言って、清水寺さんは僕の首に両腕を回してきた。大人と子供といえど、僕の方が背は高かったので自然に体を寄せ合う形になる。

 この人の不意打ちにもほどがある。

「勘違いしちゃうでしょう?」

 悪戯っぽく笑い、背伸びして僕の耳元で囁く。香水の匂いと化粧の匂いが混ざって、大人な香りだった。大人の魅力だった。魅力たっぷりだった。

「勘違いさせる方が悪い。いいから離してください」

「すみません。少しこのままでお願いします」

 清水寺さんの声が強張った。

 空気が張りつめたような気がした。

 それから清水寺さんは小声で僕だけに聞こえるように言う。

「お察しの通りです、名探偵まっくんさん。実は今ある事件の捜査中でして。ここである人物を張り込んで待つ予定だったのですが、思っていたよりも早く現れました。残念ですね、真黒さんともう少し恋人を続けていたかったのですが……」

「待ち人が現れたのなら、早く離れて欲しいのですが」

「もう少しだけ、私にお付き合いください。彼らを尾行する必要があるので、彼らが立ち去るのをこのまま待ちます」

 彼らとは。僕からすれば彼らは背後にいるので、どういう人物でどういう格好をしているのかはわからない。

 何か怪しい物の取引でもこれから行われようとしているのだろうか。待ち合わせにわざわざこんな人目につく場所を選んだのは怪しまれないためなのか。わからない。とにかくこの状況が早く終わって欲しい。

「いつまでも同じ体勢っていうのも、怪しまれると思いますが」

「じゃあキスでもしてみます?」

「子供をからかうんじゃありません」

「あらあら、私は本気ですよ? 捜査のためですから」

「職権乱用だ」

「なんとでも。正当な理由です。ふふっ、こんなに楽しい捜査は初めてですよ。あっ」

「どうかしたんですか?」

「マズイです。これは非常にマズイですよ真黒さん。あ、あああマズイです」

「ちょ、僕からは状況がまるでわからないんですから一人で慌ててもらっても困ります。そんなにマズイ状況なら早くどうにかしてくだ――」

「真黒くん!!」

 と。

 待ち人来たるである。

 最高に最悪のタイミングだった。

 言ってみればありがちな展開だった。タイトル通り、前回の予告通り、彼女がいないと始まらないのである。

 彼女の声で清水寺さんから解放された僕は、まず真っ先に彼女の姿を確認した。

 まっくろ『黒』だった。

 せっかくのクリスマスデートにオシャレしてきたのだろう片鱗が『黒』の隅に見えた。僕には『黒』が見えていたおかげで彼女のデート着を拝むことが叶わなかったのだった。

 僕もまあ、一応は持ち合わせの服で気合を入れてきたのだけれど、どうにもお互いの服装について褒め合うことすらできなさそうだった。

「なにしてんの?」

 言わずもがな、怒っている。表情は例によってわからないけれども猛烈な怒りの『黒』だった。本当に、今日という今日は愛しの彼女に殺されてしまうかもしれないと本気で思った。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。説明させてくれないかな?」

「たしかに遅れてきたのはあたしだし……それはものすごく悪いと思ってるし……だからって真黒くんは他の女の子となにしてんの!!」

 おおぅ、これが修羅場。

 嬉しくもなんともない初体験パート2。本当に嬉しくない。

「お、大空さん。落ち着いてください。私から説明しますので」

「あなた誰? なんであたしの名前知ってるの? 真黒くんとどういう関係なの? 説明できるなら説明してよ早く!」

 清水寺さんも、ほとほと困った様子だった。しかしこんな状況でもこの人の『黒』にはあまり変化が見られない。たいしたものだと感心してしまうほどだった。『黒』が濃くなった理由は僕の彼女が現れたこともあるのだろうけれど、大きな原因としてはこの捜査のことだろう。修羅場を繰り広げてしまっているものだから、当然周りの人に注目されてしまっていた。このままだと追っている人物を取り逃がしてしまうかもしれないから。

 清水寺さんは被っていたキャップを脱いで、僕の彼女に会釈した。

「私です、大空さん。覚えておいでかはわかりませんけど」

「ん? んん? ……あっ、あなたは」

「すみません。真黒さんに少し捜査協力をお願いしていたのです」

 彼女が清水寺さんのことに気付いて『黒』を薄くする。しかしその後にまた『黒』を濃くしていった。目にした光景を捜査と言われても納得がいかないのだろう。

「捜査!? どうして捜査で抱きついたりするんですか!」

「あっ」

「あっ」

 僕と清水寺さんは同時に『彼ら』を見やる。『彼ら』はどこにでもいそうな中年の男二人組で、捜査の言葉に反応したのか『黒』を濃くさせてこちらを見ていた。

 目が合うと同時に、その彼らは一目散に逃げ出した。

 その彼らを追う男が三人、群衆の中から飛び出して行った。清水寺さんと同じくここで張っていた刑事らしい人物だった。

「失礼します! 大空さん! このお詫びは必ず!」

 清水寺さんが飛び出した拍子に被っていたキャップが脱げる。それに構いもせず、清水寺さんは彼らのあとを追って行った。

「えっ……」

 茫然とその後ろ姿を見ていたのは僕の彼女だ。以前のことがあるから、以前からかわれていたことがあったから、捜査と言われてそれをすんなりと信じることはできなかったようだった。

 彼女は静かに清水寺さんのキャップを拾いあげて僕を見た。

「……やっちゃった? あたし」

『黒』が薄くなって、彼女と目を合わせる。

「気にすることないよ。あれはお遊びが過ぎた清水寺さんの自業自得。キミが悪いことはないさ。それよりも、その、悪かったよ」

「あ、あたしこそ遅れてごめんなさい!」

 うーん、この場合どう答えればいいのだろうか。一時間ほど他のカップルを見て勉強した僕だけれど、さすがに今来たところだからという気遣いの言葉は使えないし。

 でもまあ僕はさしあたって、『黒』が薄くなってようやく見ることができた彼女の姿をまじまじと眺めていたのだった。

 普段も見慣れない彼女の私服姿だけれど、今日は少し大人びて見えた。クリスマス用のコーディネートだろうけれど、いつもとは違う雰囲気で新鮮だった。いつも特別な日ではなかったクリスマスを特別だと感じさせてくれる彼女だった。それだけでも十分だった。

「今日は一段と可愛いね。待ったかいがあったよ」

「ひぅっ……。ま、真黒くんは平気でそういうこと言うからたまに困るんだよ。慣れてるって勘違いしちゃう」

「キミの前では素直になってるだけだよ」

「……ありがと」

 どうだこのバカップルのような会話は。僕も随分と成長したものだ。

 こうして落ち着くと、周りの喧騒も僕たちに注意を向けなくなった。これでようやく彼女とはふはふできるというものだ。

「でさ、さっそくなんだけど真黒くん」

 そう言って、彼女は小さな紙袋を押し出してきた。照れた様子にも、緊張した様子にも見える笑顔。僕が初めて人からもらう、クリスマスプレゼントだった。

「気に入ってもらえるといいんだけど……」

「開けても?」

「もちろん」

 僕はさっそく紙袋を手に取り、中から可愛らしくラッピングされた袋を取り出した。丁寧にリボンを外してその中身を拝む。

 中身は以前彼女が口を滑らせていたから想像はついている。手編みの何か。大きさからするとマフラーか手袋あたりかなぁ。

「これは……?」

「えへへ……上手くできたとは思うんだぁ」

 赤い手袋だった。

 手袋……? だった。

 手袋は手袋でも、袋の中には片方しか入っていなかった。いや、片方と言っていいのかよくわからない。『黒』が見えているとはいえ、いつも僕の想像を超えてくるしょこたんだった。

 手袋は二つあるのだけれど、その手の甲の部分がくっついていたのだ。

「もしかしてだけど……」

「真黒くんがこっち。あたしがこっち」

 嬉しそうに、彼女は自分が編んできた手袋に手を入れる。その甲には中身がない手袋がぶら下がっていた。

 そこに手を入れろというのか。二人で一つの手袋を共有しようというのか。しかも片手ずつ。えらい不便な手袋だなおい。

「どうしたの?」

「ああ、いや……」

 促されるままに、僕は片手を突っ込む。

「じゃーん! 完成ー!」

 彼女は嬉しそうに手袋に入れた手を上げた。当然ながら僕の手もつられて上がった。

 なんというか、これはプレゼントももらったというよりは彼女の願望を満たしただけのような気がするんだけれど。でもまあ、彼女が嬉しそうにしているのならよしとしよう。

「よし行こっ?」

 これからデートの始まり。デートと言っても、やることは普段と変わらない。どこかの店でお喋りをして、今日は少しだけ遅くまで遊んでから帰る。夕飯が必要ないことは伝えてきた。予想以上に驚いていたのは施設長だった。

「……真黒くん」

「ん?」

 少し歩いて、彼女が足を止めて呟いた。

「……これ、手を繋げないね」

「繋がってるけどね」

「それに歩きづらいし」

「まあ歩きづらいねえ」

「えっ、あれ? なんだろう、もっとこう、はふはふ感バッチリな予定だったんだけど」

「僕はキミと並んで歩いているだけでもはふはふだけど」

「真黒くん、空いてる手同士で手を握ろう」

「それはやめとこう。それで歩きでもしたら変なダンスになる気がしてならないよ」

「じゃあこっちを」

「いたたっ! 無理矢理ねじったら痛い! 関節!」

「むぅ……」

「こ、こうすればいいんじゃないかな」

 一旦手袋を外して、彼女が手を入れていた方に僕の手を、僕が入れていた方に彼女の手を入れされる。

「おおっ」

「これなら手を繋げるよね」

 それでも手袋が繋がっているおかげで多少きついけれど。そしてやはりお互いに片方ずつしか手袋をしていないというのが現実なのだけれど。

「真黒くんやっるぅ」

「キミはもっと頭が良いと思ってたんだけど」

「仕方ないじゃん。手袋なんて編んだことなかったんだし」

 普通に編むよりもこれは難しい気がするんだけど、どうしてここに行きついたんだ。

「やっぱりマフラーにすればよかったかなぁ。マフラーなら変じゃなかったよね」

「うん? もしかしてマフラーも二つを繋げようと思ってたのかい?」

「そうだよ?」

「なんでわざわざ二つを繋げようとするんだよ。長いマフラーを二人で巻くっていうのが普通だろう?」

「嫌。だってそれじゃあペアじゃないもん」

「たしかに一つで巻いたらペアじゃないかもしれないけど……」

 それはしかし二つを繋げてもペアになるのだろうか。あくまでも一つなのでは……?

「あなたと繋がっていたいのっ」

 うーん、考えることはおかしいけど可愛いからおっけー。

「キミにそんなに思われてぼかぁ幸せだなぁ」

「ほんとに?」

「本当だよ」

「……よかった」

 妙に真剣な眼差しを向けられる。

 まあ手袋の作り方はあれだけれど、彼女は彼女なのだから、僕のことをいろいろと考えて出た言葉なのだろう。

 おそらくは『幸せ』という言葉に彼女は反応してしまったのだ。

 僕が送ってきた過去を知っている彼女だから、僕がこういう特別な日に幸せな気持ちになれるということに、彼女は安心したのだと思う。

「前回も似たようなことを言ったけれど、キミと出会えたことだけは『黒』に感謝したいと思うよ」

「また前回とか言う。特別な日の特別なタイトルだからって無理矢理だよ」

「キミも相当だけどね」

「あははっ」

「あひゃひゃっ」

 と僕たちは笑い合えるのだった。

 ちょっと待て。

 笑い声がおかしい。

「どこから湧いて出たえみりぃん」

「湧いて出たとは失礼な。わたしは虫ですか。まずはこのクリスマスで後輩に対する態度を勉強し直したらどうです?」

「同じ作者が書いてるからって別の小説の台詞を引っ張ってきたらいけないなぁ」

「今回はこういうのもありなの!?」

 えみりんのご登場である。

 繁華街に入り、お茶できる場所に向かう途中だった。

「ご心配なさらなくても、わたしも弟を連れているのでお二人の邪魔はしませんとも。そのくらいは心得ているつもりです。おっと、もうすでに邪魔しているという台詞は引っ込めてもらいましょうか」

 なんと、えみりんに先手を取られてしまった。えみりんも随分と慣れてきてしまったものだ。

「うふふっ」

 ふわりと、花の香りが届くと同時に僕の首に暖かいものが巻かれた。

 真っ白いマフラーだった。

「私もいますよ」

「……総集編かこれは」

 水鏡杰までご登場である。

 困るよ困るよ。あまりに一度に登場されちゃあ収拾つかなくなるじゃないか。

「また出たなぁ……」

 僕の彼女がさっそく牙をむく。

「まあまあ大空さん、よいではありませんか。クリスマスプレゼントを渡すだけですよ」

「プレゼントぉ?」

 僕の彼女が僕の首に巻かれたマフラーを睨む。ついでに僕も睨まれた。

「既製品で申し訳ないのですけれど、ご迷惑をおかけした分とお世話になったささやかなお礼です。どうか受け取ってください」

 思えば、休日に水鏡杰と会うのはこれが初めてだった。清水寺さんが異様に若く見えていたのとは逆で、水鏡杰は異様に大人びて見えた。とても高校生には見えなかった。

 えみりんはまあ、えみりんだった。

「いや、でも悪いよ」

「どうかお気になさらずに。これからも真黒さんにはいろいろとご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんので」

「迷惑ってわかってるなら真黒くんにべたべたしないでくれたら助かるんだけどぉ」

「大空先輩!」

「わっ」

 と、僕の彼女も僕と同様に、えみりんからマフラーのプレゼントだった。色使いも華やかで、端の方には『SYOKO』とネーム入りだった。そのネームがマフラーの出来を台無しにしていることは怖いので口に出さなかった。せっかく水鏡杰からいただいた真っ白いマフラーが真っ赤に染まってしまう。

「……」

「……」

 僕と彼女はお互いにお互いを無言で見つめていた。

 お互いがおそらくは慕われているであろう相手からマフラーをプレゼントされたのだ。

 どうしようもない笑いが込み上げてきた。

「ふふ……」

「あはっ」

 こういうのも、悪くない。

 いつもひとりぼっちだったクリスマスに、小さな笑い声が加わった。

 もう、僕はこういう空気がいらないなんて思わない。それは彼女がいるからであって、そしてその僕たちを囲む人がいるのを心地よいと思うようになったからだ。

「ふたりとも、ありがとう」

「いえいえ」

「真黒先輩にお礼を言われる筋合いはないですが、まあ今日だけは特別です」

 間違いなく特別だった。

 それから、二人はそれぞれが待つ人のもとへ戻って行った。

 その姿を見届けて、彼女と見つめ合う。

「どう? 真黒くん。こういうのも――」

「悪くないよ」

 当たり前のように見透かされ、それを当たり前のように受け入れた僕と、満面の笑みを浮かべる彼女だった。

 街中の人たちに溶け込む。うっすらとした黒い影たちが僕たちを通り過ぎていく。水鏡杰がこの光景を見たのならば、それはそれは真っ白いホワイトクリスマスになっていたのだろうと、彼女の手を取りながらそんなことを思うのだった。

 うっすらとした影。

 それは道交う人々が幸せだということだった。誰もかれもが今日という特別な日を楽しんでいる。

 そんな中に、真っ黒い影が二つ。

「あ~~~~……」

 僕は彼女を一瞥して、少しだけ頭を抱えた。

 迷うことができるのは一瞬とも呼べるこの間だけ。その間にどうするべきかを判断しなくてはならない。

 無理矢理という形でも関わってしまった。今はもう関係ないことかもしれないけれど、いつかのお礼もしなくてはならないとも多少は思っていたりする。

 あの人に助けられたのは彼女も同じことであって、話せば納得してくれるかもしれないけれど、よりにもよって今日という日なのがなぁ……。

「どうしたの?」

 怪訝そうに僕を見る彼女。

「ああ……あのね、さっきの」

 二つの黒に気付かれないように顔を背けて、彼女に小さく耳打ちする。

「どうやらあのおねーさんたちからは逃げおおせたみたいだね。それで、まあ、さ。どうしようかなーっとか思ってるんだけど」

「むーっ……」

「いやっ、ははっ……」

 頬を膨らませる彼女を可愛いと思った。いやそうではなく、わかりやすく不満なことを示してくれている彼女だった。

「なんてね」

「えっ」

「真黒くんのそういうところも、けっこう好きだったりするの。本当はあたしのことを最優先で考えて欲しいんだけど、なんだかんだで優しい真黒くんのこと、いいなぁって思ったりしてるんだよ」

「そんなんじゃないよ」

「この前のお礼につけて助けてあげようとか言うんでしょ?」

「そういうキミだから僕も好きなんだよ」

「いえーい」

「いえーい」

 とハイタッチ。なんだこのノリ。

 さあて行きましょう。

 目標はおじさまお二人様。行方を追っておねーさんに連絡して終了。そしてそのあとは彼女とはふはふだ。

「あの人たちを見ないようにね」

 彼女にそっと囁き、尾行開始。

 おじさま二人は人々に紛れるように繁華街を歩いている。服装もいたって普通。これでは一度見逃してしまったら見つけ出すのは困難そうだった。

 でも僕は違う。服装なんて関係ないのだ。黒を追う。僕だけにしかできない発見、尾行法。

 逆に僕たちは水鏡杰とえみりんからもらったマフラーのおかげでだいぶ紛れている。多分、僕も彼女も一瞬だけど顔を見られているはずだから、カモフラージュになるのはありがたいことだった。

 ウインドウショッピングを楽しむカップルを装いながらしばらく尾行していると、前を行くふたりは繁華街の入り口付近にある雑居ビルに入って行った。

「ん……」

 さあて、どうするかな。

「あのさ」

「嫌」

「うーん……」

 以心伝心やっほーである。

「清水寺さんの連絡先はキミの携帯にあるんだから、キミはもう清水寺さんに連絡して欲しいんだ。僕はあの人たちがどこに向かったのか最後まで調べるから」

「危ないよ」

「時間がないからね、頼むよ」

「うー……絶対約束してね」

「約束する」

「じゃあ電話する」

 何を約束するのかは言わなくてもわかるだろう。常套句だ。フラグというやつでもある。僕は今、危険な目に遭うフラグを立てたのだ。

 いやいや、わかっていてわざわざ危険を冒すわけもあるまいよ。

 彼女が電話をかけたのを見届けて、僕は雑居ビルへ足を踏み入れる。

 いやーな感じだった。何かが待っているような、何かが起こりそうな気配がぷんぷんする。

 薄暗い階段を慎重に、それでいて急いで上がる。足音が響かないように細心の注意を払った。

 それでもまあ、待ち構えられていたのなら見つかってしまうのだった。

「誰だお前」

 二階を見て通り過ぎ、三階へたどり着こうとする時だった。

 逃げ場のない細い階段の上にひとり。そして下にもひとり。

 あっれー?

 やはり僕に似合わないことはするべきではなかったということだろうか。

 僕は階段の上下に視線を向ける。僕がたったひとりだとしても、相手は警戒して近づいてはこないようだった。そんな『黒』。それに見た様子、さっき清水寺さんと一緒にいたことは気付いていないらしい。

「え? えっと、なんなんですか?」

 とりあえずはとぼけてみた。

「この先に用があんのかい?」

 と上に立つ男。

「そうなんです。叔母がクリスマスプレゼントを取りに来いって」

「兄ちゃん、嘘はよくないぜ。この上には何もねえし、二階じゃ必死になにかを探してたよなあ」

 と下に立つ男。

「だから、叔母の事務所を探してたんですよ」

「こんなおんぼろビルでかい? あいにくと他んとこはテナント入ってねんだわ」

「あちゃー、間違えたみたいですね」

「そうかいそうかい。そりゃあ運がなかったな、兄さん」

「う、運がなかったとは?」

「こんなとこに来たら怖い思いをしちまうってことさ。ちっとばかし付き合ってもらおうか」

 うふぅん、やばいよやばいよ。いつからバレてた? 入口から見張ってた?

 挟み撃ちにされてるし、僕はあいにくと体術の類は身につけてないし、おなべのふたも今日は持ってないし。

 跳んだ……ら痛いだろうなぁ。しかしまあ、一度階段から転げ落ちたことはあるし、下手なことをしない限り死にはしないだろう。下の奴をクッションに使えばなんとか行ける……かもしれない。階段を飛び降りるなんて自殺行為だけど、僕の彼女が飛んだ高さからすると低い低い。平気平気。

 黙って捕まるよりも少しは抵抗しないとね。

 さぁて、跳ぼう飛ぼう。

「真黒くん!!」

 と。

 驚いたのは僕よりも上下の二人。飛び降りようと心を決めていた僕の行動は速かった。

 彼女の声で振り返った下の男の隙を逃さないように、体当たりを仕掛けた。

「やろ……ッ!」

 受け止められてしまったけれど、男が掴んだのは水鏡杰からもらったマフラーだった。それは僕の首から抜け落ちるように離れ、僕を男から遠ざける役割を果たしてくれた。

「早く!」

 彼女が階段を駆け下りる。そのあとを追って僕も階段を駆け下りるのだけれども、元陸上部の足さばきにはどうにもついていけなかった。

 その僕は一階へたどり着く時に男に追いつかれ、背中を蹴り飛ばされて一階フロアに転がってしまった。ポテッっという音ではなく、もっと鈍い音が体の中に響いた。

「おらぁッ!!」

 建物に響く男の威勢の良い怒鳴り声。それと同時に男の右拳が振り上げられていた。僕は床に転がったまま、その振り上げられた拳を見つめていた。

 情けないなぁと思いながらも、殴られるのが彼女じゃなくてよかったなぁと、そんなかっこうつけたようなことを思っていたりしたのだった。

 殴られる瞬間、僕の視界が影で覆われた。

 僕に覆いかぶさる影。

 僕の彼女。

「あうっ!」

 彼女が殴られた。

 彼女がナグラレタ。

 僕のせいで彼女が殴られてしまった。

 なんだろう。何も考えられなかった。彼女が笑って何か言っていたような気がするけど何もわからなかった。僕はがむしゃらに彼女を傷つけた男に向かって行っていた。

 返り討ちにあったと思う。何発殴られたかもわからない。ひとりではなくふたりがかりで殴られたり蹴られたりしていたと思う。僕は床に這いつくばっていたけれど、何か抵抗していたように思う。ひとりの靴はもぎ取ってやったっけ。歯を立てたような気がするけれど、気のせいかもしれない。

 その殴打と怒声の荒らしが止んだのは、何人かの足音が聞こえてきてからだった。

 そしてふわりと、どこか懐かしさを感じさせる香水の香りが鼻に届いて、優しく抱きしめられていた。

「真黒さん」

「あ……」

「私が言うのもあれですけど、無茶をしてはいけませんよ」

 重くてなかなか開けられない瞼の向こう側から、優しい声が聞こえていた。

「大丈夫。もう大丈夫だからね」

 どこか遠い昔に同じようなことを誰かから言われた気がしたけれど、僕はそれを思い出すことができずに、気を失ってしまったのだった。



 後日談というか、午後の談。

 僕が目を覚ましたのは病院だった。目を覚ました時には何度か泣いてしまったかもしれない僕の彼女が目を腫らして座っていて、かけられたかけ布団の上には真っ白いマフラーが置かれていた。

 なぜか贅沢な個室にいた。

 目を覚ました瞬間に彼女に抱きつかれて、体中が悲鳴を上げた。それを我慢して脂汗が出て来たことに、彼女が「どこか痛むの?」と聞いてきたのを可愛いと思って良しとすることにした。

 そして。

「それで結局、あの人たちは何をしでかしたんですか?」

「そうですね、法に触れるものを売りさばいていた連中の一角です。残念ながら今回確保できたのはあの二名だけでしたけれど。それよりもほら、あーんしてください」

「いやいやだからそれはやめてって言ってるでしょう」

 僕は清水寺さんからケーキを食べさせられているところだったのだ。

 僕の彼女がそれを黙って見ているのかと言うと、黙って見ていた。もとい、我慢して黙って見ていた。

「し、清水寺さん? 真黒くんが嫌がってるんだからやめてあげたらどうですか?」

「うふふ、さきほど言ったとおり、これはお二人への罰です。確かに最初に取り逃がしたのは私たちの責任ですが、私たちの到着を待たずに危険を冒してしまったお二人への、罰です。ということで真黒さん。真黒さんも私が差し出したこのクリスマスケーキを食べるしかないんですよ?」

「口の中が切れてて味が……」

「それも罰です。ほら、あーんしてください」

 清水寺さんはもういつものスーツ姿に戻していて、まあやはりあの格好は若作りしすぎだったなぁと思う僕だった。

 彼女が目の前にいるので勘弁してもらいたいものだったけれども、もうこのやり取りもかれこれ三十分以上になるのでそろそろ終わらせなければとも思っていたりする。ということで観念して僕は口を大きく開けるのだった。

「あーん……んぐ」

 結構いきおいよくケーキを突っ込まれる。

「うふふ、おいしいですか?」

「お、おいひいです」

「彼女の前で他の女性からあーんして食べさせてもらったケーキはおいしいですか?」

「嫌な言い方するな。無理矢理なのに」

「あっ、真黒さん。クリームが」

 ぺろりと。

 口の周りについていたかもわからないクリームをぺろりと、舐められた。

 いやいやいやいや。

「こらぁーーーー!!!!!!」

「あいたっ」

 たまらずにしょこたんは立ち上がって清水寺さんの頭をはたいた。うーん、さすが僕の彼女。相手が誰であろうとお構いなしであった。

 清水寺さんは頭をさすりながら歳不相応に頬を膨らませた。

「痛いですね。私これでも警察なんですよ? いろいろ理由つけて逮捕しちゃいますよ?」

「やりすぎでしょ!」

 いくらなんでもやりすぎだった。

「これくらいいいじゃないですか。ケチケチしなくても。私、真黒さんのこと好きなんですよ?」

「ななっ!?」

 うわーお。やっぱり『黒』に変化なくそういうこと言えるからこの人はすごい。

「とはいえ」

 ここまでしょこたんをからかって、清水寺さんは立ち上がった。

「私も事後報告やその他もろもろの書類も作らなければなりませんので、そろそろ失礼しますね」

 しょこたんの『黒』が晴れる。自分に正直な彼女である。

「今日のところは、お二人の邪魔をするのはここまでにしておきます」

「今日限りだもう来んなぁ!」

「大空さんとはライバルですね。文字通りに恋敵としてのライバルということでよろしくお願いしますね」

 しょこたんは牙を剥いて僕が使っていた枕を投げつけた。地味に衝撃が辛かった。

「真黒さん。大人の女性はあまり気長には待てませんからね?」

「いや、待たなくていいっす」

 清水寺さんはオホホと笑って、病室のドアを開けた。

「あ、清水寺さん」

「はい? もう求婚ですか?」

「球根から芽吹くことはないでしょうね」

「愛情という名の養分をお与えください」

「いいから」

「はいはい」

「お尋ねしますけど、清水寺さんはいつからこの仕事をしてるんですか?」

「……さあ。もう随分と長くなるので忘れましたねぇ」

「そうですか」

「それでは失礼しますね」

 静かに、ドアが閉まる。

 清水寺さんの『黒』。あの変わりようはどう捉えればいいのだろうか。わからない。

 たぶんどこかで嗅いだことのある香水なのだけれど。

「真黒くん」

 清水寺さんがいなくなったあとに不満そうに漏らす彼女。

「真黒くんはいつからモテキャラになったのさ」

「あれは大人の冗談だよ」

「ぺろんちょされてたくせに! それで照れてたくせに!」

「ぺろんちょとか言わない」

「むーっ!」

 そして彼女はケーキを頬張った。

 なんだ、食べさせてはくれないのか。彼女からのあーんなら大歓迎だったのに。

「んー」

「ん?」

「んー!」

 口を突き出す彼女。

「えっ? ちょっと待って。まさかその今キミが含んでいるケーキを僕に食べろと?」

「んー!!」

「ぎゃー!!」

 個室という状況で彼女に押し倒される僕。

 お隣からの苦情でなんとか事なきを得た僕だった。ということにしておきたい。

「けほっ。もにょたんや、僕の上着を取ってくれないかい?」

「うへぇえへ。ああ、はい」

 彼女から受け取った上着のポケットを探る。

 よかった。

 無事だった。

「僕からあげられるものなんて、これくらいだけど……」

 用意していたクリスマスプレゼントを渡す。

 本当にたいしたものじゃなかったけれど、それを受け取った彼女は本当に嬉しそうに笑ってくれた。

「えへっ、毎日つけちゃお」

「キミの日替わりも少し楽しみだったんだけどなぁ」

「じゃあ……二つだね!」

「うん」

 なんでもないような日常のお話し。

 僕と彼女その2でした。

 それではみなさん、僕は彼女とこれからはふはふするので覗かないように。

 次回はまたいつの日か。

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