プロローグ
「...落としたぞ?」
私は落ちていたハンカチを拾う。
「え?...あっ...ありが...ヒィイッ!!..あ、ありがとうございました!!」
女子は私に怯えてハンカチをもってそのまま逃げてしまう。
そうだ。私はいつでもそうだ――。
皆私が話しかけると逃げる。私は目つきが悪いのだ。
皆私の事を避ける。私は孤独だ――。
「...はあ...また逃げられてしまった。」
私はこの方、友達を作った事がない。いや作れない。
私はこの目つきの悪さと男子みたいな喋り方のせいかひどく怖がられてしまう。
そのせいで友達は愚か喋る相手すらいない。
「大丈夫だって。まあ、目つき悪いけど大丈夫だろう?」
「本当に他人事だな。まあ、お前には期待などしてないがな。」
こいつは私の幼馴染。まあ私と唯一喋れる相手ではある。
友達などだろうか?まあ友達と言う存在があまりわかってはいないのだが...。
「まあ、目つき直せば友達もできるだろうな?」
「お前に言われたくないな。ほら、またお前に喋りたくてうずうずしている女子が待ってるぞ。」
「はいはい。んじゃ、またあとでな。凪乃。」
あいつはクラスでも人気者だ。明るくて誰にでも優しい。一応モテる。
こんな私なんかと喋っているのはきっと幼馴染だからだろうな。
幼馴染じゃなかったらきっと喋る事すらなかっただろう。あいつには感謝している。
「はあ......。」
それにしても私は本当に孤独だな。あいつがいないと本当に私の周りは静かだ。
「咲本。おはよう。」
「......え?」
ぼーっとしていた私。だから少し驚いてしまう。
こんな私に挨拶なんてしてくる奴なんているなんて思いもしなかったからだ。
「...あ...ど、どうも。」
普段あいつ以外と喋るのなんて私はない。だからちょっと..やってしまった。
私に返事を返されたのが嬉しかったのかそいつは笑顔で自分の席に向かっていった。
そう、あいつも私の幼馴染、臨斗と同じクラスで人気者だ。
あの優しさと気弱そうなイメージが女子にはツボらしい。
私にはまったくわからないが。まあ私に話しかけたのは今日が初だった。
なぜ?...私に挨拶する意味がまったくわからない。
「...まあ、どうでもいいか。」
私は普段通り、自分の席で窓ガラスを通していつもと変わらない青い空を見上げていた。
気軽に更新していきたいなって思ってます。