第5話
井戸の中へ入った時のことは、よく覚えていない。
長かった様にも
短かった様にも感じたし
すぐに眠りに誘われて、瞳をゆっくり閉じたから。
無重力みたいな
フワフワとした感覚
まるで酸素ボンベを付けて海の中を漂っているみたいだった。
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重い瞼を静かに開ければ
桜雪の顔が近くにあった。
…え?
ガバッ
僕は勢い良く立ち上がって、慌てて距離を作る。
頭が混乱していて終始無言な僕を見て
「大丈夫?私もさっき起きたの…」
と、小さく言った。
──思い出した。
それと同時に、周りの様子を確認する。
ここは外なのか?
周りには人の姿は見当たらなかった。
ただ、何も無い広大な大地の真ん中に建物がそびえ立っているだけである。
「いかにも…だな」
僕は、重々しげにそれを見つめた。
例えるならバベルの塔、とでも言うのか。
標高は信じられない程高く、石造りで古めかしい。
円上の建物には、窓1つ無いのがバベルと違う所と言えるのか……
とにかく、入ってみるしか無いだろう。
桜雪も同じ事を考えていたのか、僕の隣で歩調を合わせた。
「お待ちしておりました。案内人を務めさせていただきますので、ついて来て下さい」
…いったいどこから現れるのか、思わず足がすくんだ。
「この人さ美術室で聞いた声の人だよね」
「…恐らく」
しばらく側にあった階段を上ると、案内人は止まって
こちらです、と呟いて、目の前にある真っ黒な扉に手をかけた。
「お入り下さい」
不安や好奇心
幾つもの複雑な感情を抱えて
僕たちは進む事を決めた。
漫画やドラマにある青春何て本物じゃ無いんだ
現実は厳しくて
希望何か無くて
弱々しい僕らは
すぐに自滅する
学校も家庭も置き去りにして
僕らが進む道にはまだ答えは無い。
大人にも子供にもなれない14歳
でも扉の奧には
新しい世界が待っている。
長ければ半月ほど、更新出来なくなります。
ごめんなさい(;・д・)