第2話
学校につけばそこでお別れ。
「じゃあな桜雪。ノートは昼までに返せよ?」
「え…クラス隣じゃん!たまには一緒に行こうよ」
…周りの男子の視線に殺気を感じるから制服を掴まないでくれ。
と言うより何で校門の真ん中でこんな話をしなきゃいけない?
実際に桜雪は本当に目立つんだ。
僕は手を離させ、桜雪を見つめる。
背は低めで、鎖骨まで伸ばしたストレートの黒髪に真っ白な肌がよく映えて女の子らしい。
明るくて優しくて男女共から人気ある桜雪
僕には、つり合わない。
「お早う、桜雪」
後ろから聞こえる穏やかな声は
「あぁ…お早う瑞希君。居たんだね」
生徒会長の鹿島だ。
僕は面倒くさくて息をフッと吐いた。
鹿島が桜雪を好きなのは知ってる。
でも僕は別にいいんだ。
桜雪の気持ちが大事だから。
「桜雪何してるの?教室入らない?」
「あ…私け」
「じゃあな、桜雪」
「ぇ…、けんちゃ」
──僕はバカだ。
「はよ〜っ!お前聞いたぞぉ〜?」
走り着いた教室で僕をニヤニヤ見てるのは、ダチの直也。
「何がだよ……」
「校門で鹿島と白崎さんを奪い合って負けたって?」
おい、情報早いな。
「いや、全然違うから。別に負けるとかじゃなくて単に面倒くさかっただけ!」
「ふ〜ん?でも、白崎さん可哀想〜…」
「……?何が??」
僕は人事な直也の反応にイラつきながらも質問した。
「そりゃお前が白崎さん置いてきたからだよ。白崎さんは、けんの事が好きなのに」
その瞬間、殆どの男子が僕たちの方を見て睨んできた。
「…おい。誤解招くこと言うな!後がめんどう何だから」
僕は小声で直也に注意する。
「何が誤解だよ、バカ。幼なじみだからって好きでもなきゃ一緒にいるかよ!」
コイツ……
わざとか?
「何で大きい声でそんな事言うんだよ!」
直也はヘラヘラ笑ってる。
こんにゃろ。
僕は生粋の平凡なんだよ
社交的な直也と違って目立つ事は嫌い何だ。
僕には波風も波乱も要らない。
──きっと直也には理解出来ない。
「チャイム鳴ったぞぉ〜!席付けっ」
担任の登場に慌てて、自分の席に帰る。
──1限後の休憩時間
僕の携帯が踊った。
「メール……」桜雪からだ。
〈2限目サボるぞっ!屋上に集合ね(・∀・)♭〉
僕は外を見る。
窓から差し込む暖かい光が僕の心をくすぐった。
ふと、思う。
もしかして僕が無意識に放った
「こんな日は授業したくない」ってセリフを聞いたからかもしれない。
どちらにせよ、麗らかな陽気にサボるのも悪くない。
横にいる直也にサボると伝え、僕は屋上へ向かった。