第2話
これから2〜3話、少し残酷な表現が含まれます。
本来のストーリーから少し離れたエピソードですが、小説をより深く理解してもらうために絶対に必要な内容です。
ご理解よろしくお願いします;
お兄ちゃんの隣には、知らない人が数人いた。
その中には髪を茶や金に染めている人もいて、だらしなくダボダボの派手なシャツを着こなしている
「お兄ちゃん、だぁれ?」
「塾で知り合った友達。外見怖いかもだけど、根は良い奴だから大丈夫だよ」
そのセリフに、紹介酷くね〜っ?!と、おどける人
それに乗って周りが笑う
「まぁまぁ…今日は勉強も兼ねて遊ぶからさ。部屋には来ちゃ駄目だよ」
「うん…」
──お兄ちゃんは真面目で成績もすごく良いけど、明るくてクラスでも人気者って聞いた事ある
初めはいかつい雰囲気の6年生達に緊張したけど、話しぶりからお兄ちゃんと対等な関係の様であった。
「〜でさぁ!ハゲが滑った訳だよ」
「まじウケるんだけどっ!!それ見たかったわぁ〜」
……でもやっぱりこの人達、苦手だ。
服から微かに臭うタバコの煙たさに、鼻をつまみたくなる
私は家に着くと同時に階段を駆け上がり、部屋に籠もった。
隣接してる部屋から騒がしい声が聞こえたけど、何となく聞こえないフリをして絵本を読む。
そうやって暫く1人で遊んでいたが
「喉…乾いたな」
冷蔵庫にある飲み物を取ろうと、リビングに向かう私の腕を
──誰かの手が掴んだ。
「あれ〜?紅葉の妹ちゃんじゃん!!どしたの〜??」
「え…ぇと、ジュース取りに……」
ふ〜ん…、と男の子は、口角を上げてニヤニヤと笑った。
「飲み物なら俺らん所にあるよ。部屋に来なよ」
言うと同時に乱暴に腕を引っ張って、無理やり歩かせた。
「べっ別に良いっ!」
「い〜から、い〜から」
ぶんぶんと首を横に振る私を見ようともせず、男の子は笑って部屋に突き進んでいく。
「妹ちゃん連れてきたぞぉ〜!」
瞬間、部屋に立ち込める酒臭さに私は顔を歪ませた。
お父さんが夕食の時によく飲むビールの缶が、部屋中に散らばってる。
──子供は飲んじゃダメって事ぐらい私でも知ってるよ?
何で、お兄ちゃん飲んでるの?
「桜雪ちゃん、こっちおいで〜」
「ほらほら、座って!桜雪ちゃんも飲みなって」
「───え?」
腰を抱きかかえて自分の足に座らせる別の男の子は、お母さんが赤ちゃんにミルクを飲ませるように、ビールの缶を口に押し付けた。
苦い味が口の中に広がる
「ぅえ……っ」
ゴホゴホと咳き込む私を
「あれ〜!大丈夫?桜雪ちゃん」
全く心配してなさそうに、覗き込む男の子。
……酔ってる
この人達、変だ。
私はお兄ちゃんに助けを求めようと、辺りを捜した。
「お兄ちゃん…」
隅で男の子と談笑してる兄
顔を赤く染めた2人は、何やら紙の様なものを舐めている。
──何してるの?
その頃の私には、理解出来なかった。
それがLSDと呼ばれる麻薬である事に
それは無知
それは好奇心
みんな
みんな子供過ぎた。