第3話
──それは一瞬の事であった。
突然黒い波が押し寄せて来たかと思い、反射的に瞼を閉じたは良いが
瞳をゆっくり開けても、視界にはただただ真っ暗な色しか映らない。
「始まったんだ…」
ここがゲーム会場って事だよね?
何となく手を伸ばしてみたら、四方に壁を確認する事が出来た。
まるで箱に入れられてるみたいだ……
「あれ?」
よく目を凝らして見たら、目の前の壁に凹んでる所がある。
「白崎 桜雪様」
「は!はぃっ」
突然話し掛けられて、思わず声が裏返ってしまう。
「先ほど説明致しました通り、そのくぼみは棄権する時に使う為のものです。それから、内ポケットの中を見て下さい」
…全部、見られてるんだ。
言われた通り内ポケットに手を入れてみたら、何か小さな物体が入ってたので、それをポケットから出した。
真っ暗で何なのかよく分からないけど、薬用のカプセルみたいな形をしてる物が2つある
「それは尿意を起こさない薬です。長時間可能性もあるので、呑んだ方が良いでしょう。もう1つは食欲を抑える薬です。どちらも効果が長いので、先に呑んでいて下さい」
凄い……あ、でも現代ならこんな薬も有るのかなぁ?
「では、健闘をお祈りします」
私は2つの薬を一気に呑み干した。
水が無いから、少し咳き込むけど文句は言えない。
「……………」
誰もいない、何も見えない、何も音が聞こえない
そんな空間にずっといるってどういう思い何だろう。
別に暗闇が苦手な訳じゃない
でも、闇の中にいると気が狂うって聞いた事有るからな…
「眠ろっと…」
こんな状態なのに、何故か猛烈に眠気に誘われた。
暗いから、脳が寝る時間だって思い込んでるのかな
って一瞬考えたけど
思考を停止させる事にする。
「眠りたい……」
横になって、自分の腕を枕代わりにした状態から
瞼をゆっくり閉じた
なるべく考えない
それが、闇の中にいて取る最良の手段の様な気がした。
「お休みなさい…」
私は引き込まれる様に眠りに入り、静かに寝息を立てたのだった。