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REAL GAME  作者: 野澤 ちか
11/77

第5話

気が進まない。



誰かの犠牲の上で助かる何て、最低だよ。


「だって死にたくないもん…っ」


誰にも聞こえない声で呟いた。


そうやって自分に言い訳して、罪悪感から逃れようとする。


私、汚い……




フワッ


髪をくしゃくしゃされる。


「ちょ…ボサボサになるが〜んっ!」


「お前今バカな事考えてただろ?時間は有効に使うべきだよ」


ギクッ


何でこんなに鋭いんの??


「それに別に桜雪のせいじゃない、みんな同罪だ。死にたくないのは一緒だろ?」


「……うん」


「じゃ作戦な。さっきも言ったけど、あんなヒントを出す奴はもういない。代表者だって死にたく無いんだ。曖昧なヒントしか出さないだろう」


「曖昧なヒント?」


「例えば、茎が長いとか綺麗な色とか…これだと微妙だろ?ルールではヒントに関して何も言ってないしな」


……なる程。


「そして、それに対応するには代表者が書かないものを書くしかない。俺たちの場合は日本だけにあるものを選ぶのが無難だ」



そこで桜雪は気付く。




「あ…あのね、私やけんちゃんが代表者になった場合は?曖昧にゆうべき何だよね」



けんちゃんは少し考えて、いや、と小さく答えた。




「みんなが避けれるヒントを言って。花の種類はざっと10000以上、でも残ってるのは99人。誰も被らない可能性だって高いんだ。まぁその場合は改めて新しいお題を考えるみたいだけど……。とにかく僕と桜雪を被らせれば負ける可能性は無い」



そしてひと息ついて、意地悪い笑みを見せる。


「──僕達が敗者になる確率は限りなく低い、って事」




「……頼もしい。てゆか、けんちゃんキャラ違くなってないかな?」


ふざけたつもりだったけど、その言葉に驚いたのは、けんちゃんの方だった。


驚いたって言っても、目を少し大きくさせたぐらいだけど。



「そう…かな?ごめん。恐い??」


「ん〜ん。そんな事無いよっ何かスゴい大人っぽくてびっくりしただけ」



そっか、と小さく笑うけんちゃんに可愛さを感じたけど


ムッとしちゃうから彼には言わない。



「40分経過したので、代表者は前に来て下さい。」




──この時の私は


後ろで曖昧な顔をしてた彼に


気付きもしなかった。



優しい彼


普通な彼


真面目な彼


良い顔のけんちゃんしか見てなかった。


瞳の奥の、強すぎる意志を無視して。












私は後に激しく後悔する事になる。


けんちゃんをまともに見れてなかった事を。

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