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REAL GAME  作者: 野澤 ちか
10/77

第4話

人と被り過ぎても、被らな過ぎてもダメ……


桜雪は必死に考えていた。


けんちゃんの足手まといになりたく無いもん…


あ〜…でもどうすれば良いんだろ?



私とは生まれてきた時代も環境も全然違う。


そこにしか生息しない動物を答えるかもしれないし


犬や猫にしてもポピュラー過ぎちゃうのかな?


「……………」



みんな真剣に考えてる。


死にたく無いよね…



「こら、百面相」


頭を指で弾かれた。


「いっったぁ〜…」


「そんな思い詰めたって良いアイデア何か出ない。もっと周りをよく観察するんだ」


周り…?


「殆どみんな1人で考えてると思うけど……」


「そう、つまり単独行動。どうやらこの100人の中に俺達のように複数で来た奴らは珍しい、って事だ。このゲームは複数の方が絶対に勝率は高い、とりあえずハトでも書いて。俺も同じにするから……」


「ぇ。ハト?」


「仮、だよ。代表者のヒントで変えるつもりだ。とりあえず俺を信じて」


「う…うんっ」




──けんちゃんは冷静で強い。


私よりずっと大人だね。




そして、奥の部屋に進み手続きを取る。


「お名前と選んだ動物を教えて下さい」


「白崎 桜雪です。ハトを選びましたっ」


「…完了しました。こちらが記入された紙です。それからくれぐれもネームプレートは無くさないで下さい」



隣でけんちゃんも終わらせたみたい。


ネームプレートに記された番号は51番。


けんちゃんは3番でした。



どんな考えか分からないけど


けんちゃんを信じるから。



「40分経過致しましたので、代表者は前に来て下さい。39番!」


「ぇ?…あ、はい!」


前に出て来た人は、黒い肌・黒い髪のたくましそうな青年だった。


「ん〜と、羽根が有ります」


「それではゲームを続けます。」



羽根がある…


半分以上の人は変更のために部屋の方で手続きし直していた。



「ハトの可能性あるかなぁ」


「もちろん変更する。犬とか猫で良いと思うからね」


私は胸をなで下ろした。


そして、明るく


「これなら大丈夫そうだねっ」


だけどけんちゃんは、顔の表情を変えずに小さくかぶりを振った。


「今回はラッキーだっただけさ。出題者が頭を使って無かったから……」


「え、頭って」


ビィ─────…


「…後で話すよ」




「それでは1時間経過したので、代表者は自分が書いた動物の名前を言って下さい」


「…カラスです」



「では皆様の連想された動物の名をスクリーンにあいうえお順に公開します。スクリーンを見て下さい」







「うそだ…っ」


「…誰とも被らなかったので、39番は敗者となります。部屋から出て行って下さい」



「なんで…何で誰も知らない?!カラスなら被るだろっ!!」


「出て行って下さい」



「あぁぁ゛ああ!!嫌だっ嫌だ嫌だ嫌だ!!!」









──私はただそれを見る事しか出来ませんでした。


39番の命より


自分の命しか考えれなかった自分に



何も言う資格何て無かったから。




これがゲーム?



「ごめんなさい…」


何に対する謝りか分からない。


胸の奥が苦しくて


呼吸するのが精いっぱいだった。

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