第4話
人と被り過ぎても、被らな過ぎてもダメ……
桜雪は必死に考えていた。
けんちゃんの足手まといになりたく無いもん…
あ〜…でもどうすれば良いんだろ?
私とは生まれてきた時代も環境も全然違う。
そこにしか生息しない動物を答えるかもしれないし
犬や猫にしてもポピュラー過ぎちゃうのかな?
「……………」
みんな真剣に考えてる。
死にたく無いよね…
「こら、百面相」
頭を指で弾かれた。
「いっったぁ〜…」
「そんな思い詰めたって良いアイデア何か出ない。もっと周りをよく観察するんだ」
周り…?
「殆どみんな1人で考えてると思うけど……」
「そう、つまり単独行動。どうやらこの100人の中に俺達のように複数で来た奴らは珍しい、って事だ。このゲームは複数の方が絶対に勝率は高い、とりあえずハトでも書いて。俺も同じにするから……」
「ぇ。ハト?」
「仮、だよ。代表者のヒントで変えるつもりだ。とりあえず俺を信じて」
「う…うんっ」
──けんちゃんは冷静で強い。
私よりずっと大人だね。
そして、奥の部屋に進み手続きを取る。
「お名前と選んだ動物を教えて下さい」
「白崎 桜雪です。ハトを選びましたっ」
「…完了しました。こちらが記入された紙です。それからくれぐれもネームプレートは無くさないで下さい」
隣でけんちゃんも終わらせたみたい。
ネームプレートに記された番号は51番。
けんちゃんは3番でした。
どんな考えか分からないけど
けんちゃんを信じるから。
「40分経過致しましたので、代表者は前に来て下さい。39番!」
「ぇ?…あ、はい!」
前に出て来た人は、黒い肌・黒い髪のたくましそうな青年だった。
「ん〜と、羽根が有ります」
「それではゲームを続けます。」
羽根がある…
半分以上の人は変更のために部屋の方で手続きし直していた。
「ハトの可能性あるかなぁ」
「もちろん変更する。犬とか猫で良いと思うからね」
私は胸をなで下ろした。
そして、明るく
「これなら大丈夫そうだねっ」
だけどけんちゃんは、顔の表情を変えずに小さくかぶりを振った。
「今回はラッキーだっただけさ。出題者が頭を使って無かったから……」
「え、頭って」
ビィ─────…
「…後で話すよ」
「それでは1時間経過したので、代表者は自分が書いた動物の名前を言って下さい」
「…カラスです」
「では皆様の連想された動物の名をスクリーンにあいうえお順に公開します。スクリーンを見て下さい」
「うそだ…っ」
「…誰とも被らなかったので、39番は敗者となります。部屋から出て行って下さい」
「なんで…何で誰も知らない?!カラスなら被るだろっ!!」
「出て行って下さい」
「あぁぁ゛ああ!!嫌だっ嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
──私はただそれを見る事しか出来ませんでした。
39番の命より
自分の命しか考えれなかった自分に
何も言う資格何て無かったから。
これがゲーム?
「ごめんなさい…」
何に対する謝りか分からない。
胸の奥が苦しくて
呼吸するのが精いっぱいだった。