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フクロウ令嬢と狼公爵  作者: おはよう


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99/124

幕間


セルディアンは馬車へ戻ると、勢いのまま扉を閉めた。


一人になった途端、思わず自身の両手へと視線を落とす。


そこには、まだアナイスの温もりが残っていた。


――衝動に任せた、自らの行動。


いかなる時も冷静に努める。

それは公爵として、そして騎士団を束ねる者として、義務のようなものだった。


それなのに、アナイスを前にするといとも容易く崩れ去る。


苦い笑みが、わずかにこぼれた。


けれど――


実際に彼女が過ごしてきた空間に触れた途端、込み上げる想いを、抑えることなどできなかった。


あの場所で、どれほどの孤独を抱えていたのか。

想像するだけで、胸の奥が軋む。


ならば――


そのすべてを、この手で埋めたいと、思ってしまう。


「……俺らしくない」


ぽつりと漏れた言葉。


このあと、アナイスを前にどんな顔をすればいいのか迷うなんて。


「……本当に、らしくない」


その呟きは、誰もいない馬車の中に、静かに溶けていった。



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