灰色の空
灰色の空
頭上を飛び交うドローンたちが明日の天気を知らせている。管理された区域内では天候を定めて調節し、人々に当たり前を提供していた。
本日の予報は曇り、人工的に作られた雲が太陽を遮る。
ドーム状の膜に覆われたこの町は主要都市の一つで最も大きい。フォグブレーという名前は早足で通る人々の喧騒と埃を思わせる。
学校が早くに終わり、暇を持て余して街中を歩く。
いつものように飲み物を買おうと寄り道をした。
商品を作りながら客に4本目の手でジュースを渡すロボットを見つめる。
今日はいつもより客が多い。なにかあっただろうか、と考えていると反対の道路から歓声が聞こえた。
そちらに目を遣ると有名な科学者の滋賀里直斗が研究所から出てくるところだった。
この世界では科学者が権威を持っている。科学で発展してきたこの国では特に大きい。それに加えてこの滋賀里直斗は顔もいいときた。モテるのは必然だ。
だから一目見ようとファンが待ってたのか…。
ここまで人気だと一昔前のアイドルぐらい人が集まるんだな、と一人で納得していると前方から熱さを感じた。
その瞬間、爆発音がなり響いた。彼が出てきた研究所からだ。見ると上階からガラスが降ってきている。危険を察知した店のアラームがなった、と思ったらシャッターがけたたましく降りた。店内は騒然としている。
その音に身を固まらせていると、ジュースを作っていたロボットが人々に安全のため動かないように、と注意を促しはじめた。
かなりの人たちが外にいたが彼らは無事なんだろうか。
火災が起きているらしく、消火ドローンとロボットの警報音が近づいてくる。焦げた臭いがここまで香ってきていた。それに気をとられていると私の不安を感じ取ったように前方の青年に話しかけられた。
「大丈夫ですか?」
「ええ…私は大丈夫です」
「学生さんでしょう?災難でしたね」
「たまたま早い時間に終わったのですが、こんなことがおきるなんて驚きました」
「本当に…驚きましたよ、広野和葉さん」
「え…、なんで名前…」
唐突に名前を呼ばれ思わず身構える。彼は誰だろう。
知り合いにこんな人いたっけ?私はごく普通な高校生であるから、こんな人は知り合いにはいないはず。
というか、すごく綺麗な人だな?ほんとに人間?そこから疑わないといけないぐらい完璧な造形だ。
「失礼、あなたに用があって来たものですから。まさかこんなことが起こるとは思いませんでしたが」
「用…ですか?」
「はい、あなたに協力してほしいことがあります」
人形のような彼は告げる。
───あなたにしかできないこと、
それが鍵である私の役目なのだと。




