黄金の海を渡って
爆発。
彼の頭上で起きたそれは回避のしようもないものだった。
彼は呻く。飛び散った赤が鮮やかなのは一瞬のことで、あとは燃える火の中に溶けていった。
「敵の狙いは僕の中のチップだ、ルキ」
彼が嫌に冷静な声で言う。
分かっていた、私は頷く。
「ですがその怪我では逃げ切れません、マスター。私はともかくあなたは─」
「そうだ、だからお前だけ逃げるんだ」
それは彼の決意を飲み込むための言葉だったのかもしれないしれない。
「僕を、
殺して、
チップをお前の中に入れれば逃げ切れるんだ」
─できるか?
そう問いかける瞳は揺れていた。
痛みで濡れた瞳を真っすぐにこちらに向けている。
私は問いかけへの答えを導き出す。
「命令の遂行は可能です、マスター…あなたが望むのなら、私はあなたを殺すことができます」
そうか、…そうか。私のマスターは呟く。
安心したような、寂しさを滲ませたような笑顔を私に向ける。
「では、よろしく頼む。ああ、そうだ。もし、ここを晴れて出られて僕たちの計画が成功したあと、お前にやりたいことがなくなったときは僕の代わりに世界の景色を見てきてくれないか。嫌になったら止めてもいいから」
「あなたの命令ならばどんなものでも遂行します、マスター」
「ああ、違う…違うんだ。これはお願いなんだよ、ルキ」
だから嫌だったらやらなくもいいんだよ、とマスターは言う。
私は銃口をマスターに向けた。




