6話 日本という国は、言い訳が難しい
「あのね、心花のことで相談があるの」
「うん。それは少なからず私も感じてた」
「小学校は近くの戸田市立藤丘小学校でいいじゃん?で、問題は、どうやって誤魔化すかなの」
「そっか。確かに先生に『異世界から来た子です』なんて言えるわけがない。だからといって、『東京から来た』って言ったら『じゃあ、住民票見せてください』って言われるし。さらに、今住民票取りに行こうとしたって、生まれたばかりの子じゃないんだからできないよ」
「そうなんだよね。ほんとにどうする?」
「あ!いいこと思いついた!『この子を、児童養護施設から引を取りました』って言って、『じゃあ、その証明書を見せてください』って言われたら、先に作っておいた偽物証明書を見せる!そうすれば住民票はもらえるに違いない!公式サイトから見本が上がってるから、それをコピー
して、いらないところ切り取って、見本と言っても埋めるスペースは空白だから、埋めて完成!どう?」
「え、神。めっちゃいいアイデアじゃん!じゃ、明日決行。必要事項埋めといてくんない?責任者私でいいからさ」
「りょ」
あれから琴音の部活の話とか、大学の話とかをした。部活か。懐かしいなぁ。私は何も入っていなかったけどさ。でも、あのときに戻れたような、そんな気がした。心花にも、そんな思い出を作って欲しいな。
「ただいま〜。お風呂めっちゃ気持ちよかったです!シャンプーとかもいい匂いで!!ドライヤーも終わりました!下着も乾いてて、着心地よかったです!」
「お帰り。あ、片付け終わったから、部屋に服とか置いときな。その後に、明日の事について話したいことがあるんだ。いい?」
「わかりました!」
心花が戻って来た。
「で、話したいことってなんですか?」
「えっとね、さっきご飯食べる前にさ、小学校の話ちょっとしたじゃん?で、今7月なんだけど、いま夏休みっていう長期休みの期間なのね。それが終わったら2学期なんだけど、その時に転校生として学校に通えればなーって思って。でも、流石に『異世界から来た』なんて言えないじゃん?だから、いいことを思いついたの。今から言うことをよく聞いてね、心花。まず最初に、この紙に必要事項を埋めて、市の職員に渡す。次は、学校の教員と作り話を作った上で面談をし、学校に通うことを申請する。この2つを決行すれば通える。どう?」
「え、この紙ってなんですか?紙無いですけど」
あ!?やってしまった。印刷するの忘れた。
「あ、これ。画面見て。これを印刷して、書く!質問ある?」
「なるほど、よくわかりました!でも、書字が苦手なんですよ。いや、書けるは書けるんですけど、この世界に通用するのかなって考えて。小さい頃から御父様に、「お前は姫なんだから、自分の名前はかけるようにして、将来皇帝になるんだから、政治とかについては話せるようにしておけ」って言われて......」
「大丈夫よ。名前は琴音が書いてくれるから。日本語は、一緒に練習しよう。やっぱ日本っていいな。治安も最高だし」
「あ、ありがとうございます!で、日本ってここのことですか?あと治安って......?」
「そう。日本はここの国の名前。ラミリース王国の意味と同じ。治安は......。説明するのは難しいな。うーん.......」
「心花、もうこんな時間なんだしもう寝よか。私達はまだ起きてるけど。明日は一緒に頑張ろうね。私も、お姉ちゃんも協力するから」
「そうだね。また明日説明するから。おやすみー」
「わかりました!おやすみなさい!」
「おやすみ〜」
心花が寝に行った。今日は波乱だったな。とりあえず良かった。昨日じゃなくて。