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朝日は必ず昇ってくる。

  つまらないことに、また太陽が昇ったようだ。


 カーテンの隙間から薄暗い部屋に差し込む一筋の光を見て、そう思った。たまには、土星でも木星でも昇ってくれれば、日常に希望を感じて起きることができるのに。


 そう考えながら、いつものように眠い目を擦り、部屋を出る。のそのそと廊下を歩いていると、階段の手すりに差し掛かったくらいで嗅ぎ飽きた朝食の匂いがする。


明日希あすき、夏休みなのに朝に起きるなんて珍しいはねぇ」


 これも聞き飽きた。赤子がいないいないばあを喜ぶように、高校生もその様に褒めれば喜ぶと思っているのだろうか。実に腹が立つ。


「私のために用意したやつだけど、譲ってあげるわ」

 その親切の押し付けにもうんざりだ。早く食べさせないと、泣き出すとでも思っているのだろうか。そんな苛立ちを食欲にぶつけるかのように、トーストにたっぷりとマーガリンを塗りたくる。


「つけすぎたら、体に悪いわよ」

もういい。ありきたりな常識など知らない。こんなことでしか刺激を得ることができないのだ。口の中に運ばれたマーガリンの塊は、激しい塩味と不快な油の触感を感じさせる。だが、私はもう刺激は感じなくなっていた。


 繰り返される日常。これに出口などないのだろう。延々と続くループの中で時間に背中を押されながら、進むことしか許されないのだ。どれだけ退屈しようと、どれだけ絶望しようと、無常にも刻々と日常が止まることがない。


 いや、ある。日常から抜け出す方法が。そうだ。なぜ思いつかなかったんだ。とても簡単なことじゃないか。









 「死のう」


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