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第7話 幕間~その頃のワルジール魔法学校①~

本日2回目の投稿です。

今回は幕間で、三人称視点です。

 一方で、アリス・パリカールを退学処分にした【ワルジール魔法学校】では……。


「アリスさんが退学処分?」


「ええ、校長室で声が聞こえてきたので盗み聞きしたら」


「最悪だな……。 いや、アリスさんが入学しようとしたタイミングで校長が弟に変わり、教師陣も奴の思想に染まった奴らにごっそり変わったからな」


「去年の話ね。 先代が急死し、初期魔力で優劣を決めるという思想を持った弟が就任したせいで、色々狂ったからね。 幸い国のルールで1年は在籍しないとダメという縛りルールがあったから……」


 校舎から離れた寮に招かれた男子が、校長室から聞こえた声を拾った女子からの報告に表情を曇らせた。

 去年にアリスが入学する前に、前の校長が急死した事で、新たな校長にはその弟が就任した。

 だが、その弟は初期魔力で優劣を決めるべきという思想を持っており、教師陣もその思想に同調した者にごっそり入れ替わった。


「そのせいで、彼女は……アリスちゃんは初期魔力が低い無能とされた。 でも、彼女は必死に努力していた」


「ああ。 あの様子は俺も見た。 実技授業に仕込まれたアレがなければ、俺達よりも彼女が主席になっていた筈だ。 それくらい努力していた彼女の魔力は初期とは段違いに高くなっていた」


「魔力の練りかたや制御の仕方なんかもそうね。 でも、実技授業は制約結界が展開されていた……」


「アレのせいで、彼女は実力を発揮できなかった。 今の校長の思想に同調する教師が仕込んだんだろう」


 二人はアリスの努力をきちんと評価していた。

 初期魔力で優劣を決めるという思想を持った教師が仕込んだ制約結界がなければ、実力は二人を凌いでいた。

 初期魔力が低ければ、努力しても無駄。

 今の校長の思想に染まった者は、アリスを嘲笑ったのだ。

 だが、この二人は違った。

 彼女を正当に評価していた。


「そして、テストでも報われず下の順位。 私達は声を掛けてあげたかった」


「ああ。 だが、俺達が声を掛けようとすれば、教師が【ギャザー】という強制引き寄せ魔法によって、遠ざけられ、さらに俺達が主席だから無能に近づくなと言われたな」


「酷い話よね。 そして、丁度1年経ったから退学を切り出した」


「俺達は奴らに気に入られてしまったからな。 それによる主席だ。 総合では君がナンバー2だったか?」


「ええ。 私もあんな教師に気に入られてしまうのは不快でしかない」


 二人は総合では男子が主席、女子がナンバー2だ。

 しかし、教師陣による選り好みの補正も加味されており、二人は不快感を抱いていた。

 二人はアリスを励まそうとしたが、教師陣に強制引き寄せ魔法である【ギャザー】によって無理やり引き離され、無能と話をするなと言われたらしい。


「で、キルス君。 どうする?」


「決まってるさ、ルリルラ。 俺は腹を括った。 この時の為にこっそり練習してあるモノを会得したからな」


 主席の男子……キルスが、ナンバー2の女子のルリルラに聞かれ、彼は決意したようだ。

 こっそり練習して、会得したあるモノを引っ提げることで。

 彼の決意は1つ。

 その内容を笑みを浮かべながらルリルラに告げた。


「俺はこの学校を退学する」



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