第4話 クレス校長からの提案
「あの、申し出は嬉しですけど……その、お金が……」
そうなのだ。
実はボクの学費は【ワルジール魔法学校】に支払った高額な学費で全てを注いでいたので、今は持ち合わせていないのだ。
「その心配はない。 我が学校は周辺に多数存在しているダンジョンで敵を倒して得た素材を換金できる制度もあってね。 その換金したお金を学費に回す事も出来る」
「私もその制度を利用しています。 強くなれますし、アリスさんならすぐにお金が溜まりますよ」
その後にクレス校長が換金制度を設けていると説明してくれた。
これは、学校や町の周辺に存在しているダンジョン内に潜む敵を倒して得た素材をお金に換金するシステムだそうだ。
いち早く冒険者のシステムに触れる事が可能なのと、換金したお金の一部を学費に回せるらしい。
娘のファナさんもその制度を利用しているみたいだ。
「もし、今回の退学で両親に連絡しづらいのなら、折を見て私から説明しておくとしよう」
「いいんですか?」
「ああ、パリカールは実は私の後輩なのでね。 私から説明した方がいいだろう」
初めて知ったよ。
クレス校長が、ボクの父の先輩だったなんて……。
確かにボクの方から退学になったなんて言ったら、発狂しそうだし、理由も聞いてくれなさそうだしね。
「【ワルジール魔法学校】を退学したまま燻るより、新たな学校で君の真の力を発揮させた方がいい。 どうだね?」
確かに無能と言われて退学処分にされて失意のまま彷徨うより、新たな学校で花を咲かせた方がいいだろう。
「分かりました。 あなたの営む魔法学校に入学します」
「よし、では君もこの馬車に乗ってくれ。 レアミドルボアの焼死体も一緒に運ぼう」
「え!? アレもですか」
「そうだ。 よく見たらいい具合に焼けてるのでな。 換金所に運べばある程度換金してくれる筈だ」
レアのミドルボアの焼死体を他の護衛さんと一緒に運びながら、クレス校長はそう言った。
焼け具合でどれくらい換金できるかは分からないが、クレス校長の発言からして高めの額になるのかな?
そう考えながら、ボクも馬車に乗り込む。
レアミドルボアの搬入とボクが馬車に乗ったのを確認してから、馬車を走らせた。
「そう言えば、【エトワール魔法学校】はどこにあるの?」
「もうすぐ見えてきますよ。 あそこです」
「うわぁ……」
魔物にも運良く出会わず、馬車は順調に走り、もうすぐ夜になろうとしていた時間帯で、ふと気になった【エトワール魔法学校】の場所をファナに聞いてみた。
ファナはもうすぐ見えてくると言いながら、指差しした先に規模の大きいレンガ作りの建物が見えた。
この目で見た規模だけでなら、あの【ワルジール魔法学校】よりは大きいという事になる。
「【エトワール魔法学校】は、あそこの町……【ミミル】の町で運営している学校なんですよ」
「その通りだ。 着いたら早速君が住む場所を案内しよう。 普通の寮は満室だが、新しい寮があるからね」
クレス校長が町に着いた際にすぐにボクの住む寮を案内すると言ったと同時に、馬車は【ミミル】の町に到着した。
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