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「さて、と休憩もしたし仕事仕事…あ忘れてた!」
「どうされましたか?」
「騎士は他の方…多分公爵様かな、が決めるけど、執事は私が決めるんだった」
「3人でしたよね?確か」
「ええ…そういえば一緒に入ってたのを見た…ああ!」
「どうなさったのですか?まさか…ア」
アイザック様に持ってっちゃった?
「アイザックのとこだわ」
「行ってきましょうか?」
「うーん…そうねお願い」
「わかりました」
もう屋敷もだいぶ慣れてきて、使用人の顔も覚えてきたと思う
今すれ違ったのは本館の使用人だな
「あの」
「はい?」
「貴方は奥様のメイドの方ですよね?」
「ええ、そうですが…?」
「私はジークと申します。お近付きの印に」
渡されたのは美しい青い花…ロベリアだ
公爵邸で育てているのかな
「ありがとうございます。ラナ…奥様の部屋に飾りますね!それでは失礼します」
それにしてもまさか異性に声をかけられるなんて思ってもみなかった
トントントン
「どうぞ」
「失礼します」
「おや?貴方でしたか」
「何度も申し訳ありません。さっきの書類に執事の候補資料が入っていたと思いますが…」
「なかったですよ」
アイザック様が首を傾げる
「え?そうですか?」
「すみません、こちらも1度確認致しますね」
「はい、よろしくお願いします」
「あ!すみません」
アイザック様の探そうとした右手が書類とぶつかって書類が辺りに散らばる
「大丈夫です…どう…ぞ」
落ちた写真をアイザック様に渡す
「ありがとうございます」
「いえ」
「では、見つけ次第そちらに渡します」
「ありがとうございます。失礼しました」
バタン
アイザック様…なんであなたが持っているんですか?
私とダン兄様の写真を持っていらっしゃるのですか?
貴方は知っているのですか?私の正体を
「それで?」
『彼』は『影』に問う
「無事に公爵夫人は到着致しました」
「そうか…あいつが惚れてくれるといいんだけどなあ」
ワインを飲みながら笑う金髪の男
彼はここアーデクトの皇帝だ
そして悪魔
世界一の殺人鬼だ