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3 ダンジョンを作ろう

 動物たちの召喚は高いものでも1匹あたり100DPもしない。しかも今回召喚したモノは小型の生物ばかりだから100体以上召喚したが1500DPも消費していない。10匹を1チームとした編成で10チームを作成し、周囲の探索と原生生物の狩りを行ってもらう。相手がどれだけの強さかわからないのだから戦力を分散させ愚策だが、それを考慮した上も早く周辺の地理をマップに登録しておきたかった。

 ダンジョンコアの機能の一つにマップ機能のがあり、今はダンジョンの入り口の半径数kmの外側は暗闇に覆われているが、ユニットを送り出すことで確認できる範囲を広げることができる。近くのダンジョンや街の位置と規模を把握する事の方が優先順位が高いとして狩りの成功率よりも地図の開拓の方が高いとしてこの構成にした。


 もちろん動物たちが探索している間にも俺がしなければいけない事がある。そう、ダンジョンの開拓だ。

 今の構成は入り口をくぐり、階段を降りたら広間がありその中央にはダンジョンコアが鎮座している。つまりゴールだ。横道や裏道なんてものはもちろん存在しない。階層1、部屋数1の洞穴の方が広い可能性がある構成だ。


「初期設定にしても、もっと色々置いといてくれでもいいんじゃないか?」


「プリセットなんてどうせ跡形も残らないんですから、最初からないほうが修正する手間が省けるじゃないですか」


 との事である。確かにそうなんだが開き直られるのも釈然としないものがあるな。


「因みに、ダンジョンを物理的に広げるとポイント消費しないとかは?」


 

 もし可能ならダンジョンを掘れる生き物を召喚した方が圧倒的にお得だし。消費次第ではDPを使って即座に進化させる事も選択肢に入るだろう。


「駄目ですよー、そんなズルする事ばっかり考えちゃ!ダンジョンの拡張は物理的に広げてるだけじゃなくてダンジョンの支配領域を広げてるんですよ。これによってダンジョンの広さで収入が増えたり、部屋にトラップやユニットを配置したりできるんですね。あと基本的にダンジョンの壁は不壊属性なので壊そうと思っても壊せるものじゃないですよ」


「基本的に?」


「ダンジョンが破壊できる場合は主に、ダンジョンの入り口とコアがちゃんと1本の線で繋がっていない時か対迷宮武器で攻撃した時ですね。前者はちゃんと警告がでますし、後者は実在するかも怪しいですけど」


 ダンジョンは自分も侵入者も破壊できないけど例外もある、とだけ覚えておけばいいか。


ダンジョンの拡張に使うDPは部屋の通路や部屋の大きさ。そして特殊な効果の有無。例えば魔法が使えなくなる区域や光源が効果を失う区域などだ。これらの要素で変動し自由に調整することができる。ただし通路は幅、高さがそれぞれ3m以上ないと通路として認識されずエラーの原因になるらしい。もちろん横道や隠し通路として使うならこの規格は気にする必要はない。


通路や部屋の風調も自然洞窟然としたものからしっかりと均一に舗装された通路のようなものを選択する事ができるようで構築の自由度は高そうだ。俺のダンジョンはユニットの能力が低いからそれを補う事をしっかりと考えながら作成しないと行けない。野生動物が舗装された通路で剣と魔法で生計を立てているであろう人間を撃退できるはずがない。ならば暗闇や死角などできる限りのお膳立てが必要だ。幸い、編集を決定してダンジョンの改築を実行しない限りはDPを消費しないようなので色々を試行錯誤できる。




 

「マスター!第3部隊が接敵したようですよ!」


 1時間程度かけて迷宮の1階部分を作成しおわり、2階部分に取り掛かろうとしていた矢先にナヴィが慌てながら報告してくれた。ダンジョンの機能でユニットの視界を共有できると聞いたので観測役として編成した鳥の視界をモニターに移してもらうと、異形の生き物がラクダに喰らいかかっていた。獲物が取れた場合ダンジョンに持ち帰ろうと思っていたのでその運搬役だが、体格が一番大きかったので真っ先に狙われたのだろう。


「なんだ……あの生き物?魔物って奴か?」


 それは直径は30cm以上、長さは5m近い。巨大なミミズだった。擬態に使っているのか、砂中から出てきたので付着しただけのか全身に砂を纏い。頭には2本の鎌のように鋭利な角?もしくは牙が生えており。それを深々をラクダに突き立てている。


「あれはハサミミズですね。頭のハサミ型の角で獲物を切り裂いたり体を固定して、細かい鋸状の牙で獲物を捕食する獰猛な生き物ですね」



「酷い名前だな。分かりやすいといえば分かりやすいんだが」


「あー、それは言霊による自動翻訳のせいですね。こっちの言葉では違う発音ですよ」



 なるほど、言われてみればナヴィと発言と口の動きが一致していない。今まで気付かなかったが、意識してみると少し気持ち悪いな。


 呑気にナヴィが解説してる間にも倒れているラクダはもがいてハサミミズを振り払おうとしているが、ハサミミズのしなやかな身体に受け流されびくともしない。

 他の動物たちも必死に牙や毒針を突き立てるが効いている様子はない。皮膚を貫けているが重さが足りずに致命傷には届かないように見える。向こうだけが致命傷を与える術を持ってる以上勝ち目は薄いだろう。


「これ勝てるんですか?」


 ナヴィから見ても敗色濃厚だったのだろう、不安そうに聞いてくる。


「難しいだろうな。体格が大きいせいで毒が回るのに時間がかかるだけなのか、そもそも毒が聞いてないか判断できないからまだ撤退はできないけどな」


 

「マスター、ダンジョンコアのモニター越しならステータスも確認できますよ」


 

 早く言ってくれ。慌ててハサミミズのステータスを確認する。念じるだけで反応してくれるのは手間が少なくて助かる。

 この生物のステータスを確認すると、どの能力も3を超えている。対してこちらの能力は殆どがALL1だ。なら3体いれば互角と思うかもしれないが、このステータスは実数ではなく階位なので目安にしてはいけない。例えば、実数で1~100が1と表示されるのに対し200~300が3と表示される場合、表示の上では3倍だが内部ではそれ以上の開きが出る場合がある。ならこのステータス表示というシステムを過信するのは危険すぎるという事だ。


 それで、肝心の毒の方だがステータスには健康と表示されていた。


「毒、通ってないな……やってられるか、撤退だ!」


 この編成は毒が通るという前提に組んでいる。それが効かないのであればハサミミズは狩りの対象にはならない。


 そうこうしてる内にラクダはハサミミズの捕食により息絶え、光の粒子になって消えていった。自由になったハサミミズがこちらを追撃してくるかと思ったがその様子はない。まさか、ラクダが光の粒子になって消えてしまったので捕食する事ができなかったので他の動物も同様に餌になりえないだろうと判断したのか?もしそうなら知能も低くないのだろう。


 異世界舐めてたわ。この世界の人間は砂漠横断とかどうしてるんだ?人が住んでる以上はそれなりに対処ができてるのだろう。機会があればこの世界の住人、とくにダンジョンに潜って生計を立てている人間の戦闘を見てみたいものだ。もし彼らがハサミミズなど驚異に感じないのが普通ならば俺のダンジョンは軌道に乗るまでは絶対に発見されては行けないだろう。



 その後、ダンジョンの編集が終わるまで探索隊が何かに遭遇する事はなかった。作業を中断して他の事をするのはあまり好きではないのでその方が好都合だが。

 ダンジョンの新しい構成は2階層に5部屋ずつだ。1階は自然洞窟然とした装丁に小柄なユニットを配置し奇襲をメインに、2階目では床を少し整え中型のユニットが力を発揮できるようにした構成だ。

 そこまで作った段階で使う予定の5000DPに届いたので余裕ができるまではこれでこれで凌ぐしかない、残りの3000DP強は損耗した部隊の補充と進化したユニットが現れた時の量産にに当てる予定だ。

 ロクなユニットや罠が開放されてない以上、あとは祈ることしかできない。先駆者のダンジョンマスターたちはこの環境でよくなんとかなったものだと感心するばかりだ。

 







投稿予約できてなかった。すみません

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― 新着の感想 ―
[一言] エンドはマイクラのエンドみたいな感じですか?
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