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1 チュートリアルを受けよう


「ということで、この環境を何とかするためにもマスターにはダンジョンを作ってもらいます」


 いや、これ如何にかできるものじゃないだろう。

 目の前のモニターを見る限り半径10kmは砂漠が続いている。これじゃ周囲に人が住んでいるかも怪しい。


「嫌だ、とか無理だと言ったら」


 人間からリソースを回収すると言っていたが、この環境じゃ人間はおろか自然動物だって滅多に訪れないだろう。

 ダンジョンを眺めているだけでいい名ばかりの管理職でいいなら問題はないが。目的らしい発展と間引きとやらには貢献できる気がしない。


「その時はマスターには消えてもらって次の人を呼ぶしかありませんね」


 ナヴィが常に浮かべていた笑顔が消え、ゾッとするような冷たい目がこちらを見ている。まるで出荷前の家畜を見るような目だ。既に何人かは消えてもらった後なのかもしれない。どうやら俺に拒否権はないようだ、薄々気づいてはいたがマスターなどと呼んではいるが俺を大切にするつもりはないのだろう。


「心配もわかりますが大丈夫ですよ!大人なら1日もあるけばたどり着ける場所に街がありますし、すぐに結果を出せとも言いません。むしろ余計な茶々が入りにくくていい立地とまで言えますよ!」


 さっきまでの冷たい目が嘘のように笑顔に戻る妖精。もう笑顔を見ても嘘くさくて逆に怖いんだが。


「ご理解いただけた所でコアに登録しましょう!そしたら使い方を説明するのでこの光球に触れてください」


 ナヴィが腕をモニターが消え、代わりにぼんやりと白く光る球が現れた。これがダンジョンコアなのだろう。

 俺は恐る恐るその光球に触れると、なにやら暖かいものが流れ込んでくる感覚があった。


「これで登録完了です!ダンジョンマスターはそのコアからエネルギーを供給されないと存在できないんですよ!消えずに済みましたねマスター!」


 笑顔でなんてこと言ってるんだ、この妖精は……消えてもらうと言っていたがわざわざ消すまでもなく、やる気がないのなら勝手に消える事になるのを黙っていたのか。性格悪いなコイツ。


「次は頭の中でステータスと念じてください、それでマスターの能力が表示されます」


 言われたとおりにステータスと念じてみると俺の名前や種族、レベル、能力値が表示された。

 名前?そう、自分の名前すら記憶になかったがこのステータスにはしっかりとそれが表示されているのだ。

 『イシカ』どうやらそれが俺の名前らしい。自分の拠り所が一つ戻って来たようでなんだか安心する。

 種族はダンジョンマスター。これはダンジョンマスターとしてこの世界に流れ着いたせいなのか、ダンジョンコアに登録したせいなのかは分からないが、どうやら俺はもう人間ではないようだ。いや、記憶がないのだから元は人間だったという保証もないか。

 そして問題のステータスなんだが…


「見事に1ばっかりだな、生物として大丈夫なのか?」


 特にこの体力1ってのはタンスに小指をぶつけたら死ぬとか起きそうで困る。戦闘になったら負けどころか日常生活でも気を使わなければ命に関わるのだろうか

 

「それはですね、この1っていうのは実際の数値ではなく能力の評価の等級。一言で言えば段位ですね。体力が1だからって力が2の人に殴られたら即死って訳じゃないのでご安心ください!まぁそのステータスで冒険者と戦闘したら殆どの場合瞬殺でしょうけどね!」


 ナヴィがステータス画面を覗きながらケラケラと笑っている。それにしてもこの妖精はいつも笑っているな、しかも大半は嘲笑だ。説明が終わっても一緒に居ないといけないならこれからが不安になる。

 

「次はダンジョンメニューって念じてください!そしたらダンジョン情報の表示や操作ができます!ちなみに操作の方はこのコアルームの中でしかできません!ダンジョンマスターとして成長したら別ですけどね!」


 ダンジョンメニューを確認すると複数の項目がある。ナヴィの説明を受けたものをまとめると。


 1.研究ツリー

 ダンジョンのトラップや召喚できるユニットの開放や所属するユニットの性能引き上げなど、ダンジョンそのものを強化するダンジョンツリー。ダンジョンマスターが縁のある世界の技術をダンジョンポイントで引き出すための技術ツリーが存在する。

 この2つをダンジョンポイント、所謂DPを使って開放する事によってダンジョンの独自性が生まれるらしい。

 つまり。これを育てないと「DPを消費して科学兵器を配備して無双する」といった事はできないらしい。


 2.ダンジョン操作

 ダンジョンの構造を変更する機能だ。DPを消費する事で階層を増やしたり、部屋を増やしたりと増築できる。特殊な効果をもつ部屋やトラップは技術ツリーによって開放しないと設置する事はできない。


 3.ユニット

 召喚したユニットの性能を確認したり、指定の位置に配備したり。今はユニットの数は0なので機能を確認するのは次の機会になりそうだ。


 4.ダンジョンポイント(DP)

 ダンジョンポイントを消費してユニットやアイテムを生産したり、俺を含めたユニットを強化する事できる。ダンジョンポイントで生産できるものは研究ツリーを進めて開放する必要がある。今開放さているのは鉄製の器具程度の技術レベルで生産できるものだ。電化製品はおろか火薬や蒸気機関もない。これは今この世界の自力で行える技術で研究ツリーの初期段階が設定されているためらしい。



 これがダンジョンメニューの基本機能らしい。要は、ダンジョンの強化には研究ツリーの開発が必要不可欠ってことだ。


「DPを消費して研究ツリーを進めて、その後DPを消費してダンジョンを強化する。冒険者がダンジョンを探索して成果を持ち帰る事でこの世界の文明が発達する。ってことだな、ちなみにDPはどうすれば集まるんだ?」


「その通りですマスター!理解が早いですね!DPを貯める方法は大まかに分けて3つですね!

 まずは地脈による自動収集。大地に流れてるエネルギーを自動でDPに変換してくれます。これは研究ツリーで変換効率をあげたり、ダンジョンの規模を大きくすることで増やせます!

 2つ目は冒険者との戦闘。この世界の人間はエネルギーを垂れ流してます。なので侵入者が来るだけでDPが手に入りますし、戦闘時は流出するエネルギーが多くなるので積極的にユニットと戦闘させましょう!侵入者が魔法を使ったりしてくれれば更に美味しいですね!

 3つ目は道具の還元。例えば侵入者の持ち物とかをダンジョンに吸収すればDPに変換する事ができます!同じアイテムでもDPを使って生産するほうが還元で手に入るDPより多いので注意してくださいね!

 最後に他のダンジョンコアから略奪する。他のダンジョンへ侵攻してコアを吸収したり、破壊する事ができればそのコアが持っていたDPや研究を手に入れる事ができます!」


 3つとか言いつつ4つ目があるんだが……いや、最後のは暫く考えなくていいという事だろう。自分の防衛すら不安なのに侵攻するほど考えなしではない


「最後にもう一ついいか?」


「一つと言わず何でも聞いてください!それが私の役目なので!」



「配下召喚に野生動物しか見当たらないんだが……?」


 そう、俺の召喚リストにはゴブリンはおろかスライムすら見当たらない。野犬や蝙蝠、蛇でダンジョンを守れと言うのだろうか?


次回、「ダンジョンを作ろう」改め「動物園を作ろう」の連載開始!

説明回。この辺りのルールは一区切りついた所で別にまとめ直すかもしれません。

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