01 出会い①
パシャッ
僕は思わずシャッターを切った。
公園の丘に咲く桜、その下で長い黒髪を揺らす彼女。
カメラの音に気付き振り向く。髪を耳にかける仕草は
とても綺麗で絵画のような美しさだった。
写真を見て僕は思う。この瞬間を撮るために
カメラを手に取ったのだと……。
僕、桜庭映汰は黒淵メガネの冴えない写真部員だ。
今日は写真部の活動で菜の花畑に来ていた。
「あーっ!もう!!何でこんなにうまく撮れないんだ!?」
先輩や同級生がワイワイと楽しく写真を撮ってる中、
映汰だけは無性に腹が立っていた。
「場所、角度だっていいはずなのに先輩たちと全然違う。これじゃあ今度のコンテストで賞なんて無理だ…。」
そんなことを思っているとあいつに話しかけられた。
「映汰、なにカリカリしてるんだ?折角こんないい景色が
目の前に広がっているのに。」
「あー……和也か。どうもこうもないよ。全然いい画がとれないんだよ。」
こいつは親友の高田和也。小さい頃から一緒でこいつの
影響もあって僕も写真部に入った。
「あーそういうことか。映汰はさ、考えすぎなんだよ。」
「どういうことだ??写真撮るなら考えることたくさんあるだろ??角度とかどう見えるとかさ。」
写真は時間や光の角度、風景、人がいるかいないかでも
大きく変わる。考えるのは当たり前だ。
「それじゃだめだよ。写真って言うのは自分が撮りたいものを撮るんだよ。この世界からここを切り抜きたいって思って撮った写真ほど綺麗な写真はないと思うね。」
和也のいうことは確かにと思う。だけど…
「それはお前がうまいからだろ?俺みたいなやつには無理!」
和也は小さい頃からカメラを握っている。
和也のおじさんがカメラマンだからと言うのもあるだろう。小さい頃から感受性が良く、人を引き寄せる写真を撮っていた。
「まあ、お前にもわかる日が来るよ!ずっと一緒にいた
俺が保証する。お前は絶対最高の写真を撮れるさ。」
笑顔でそういう和也に僕は口を開けて呆然と
してしまった。そう言われるとなんか照れてしまう。
「あ、そういえばもう帰るってよ。お前を呼びに来たんだった笑」
「おい!それ重要じゃないか!!急ぐぞ!」
和也の言ってること、いつかわかればいいな。
このときはそんな風に思ってるだけだった。
読んでくださってありがとうございます。
初小説、初投稿です。
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新しい挑戦なので温かく見守って頂けると
幸いです。
続き読みたい思ってもらえるように頑張ります。
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