-93- 効率よく
暮らしの中では効率よくコトを運ぶ・・という行動パターンが欠かせない。分かりやすく言えば、無駄がなく効果もあり、なおかつロスが少ない・・という行動パターンである。一例を挙げれば、朝の涼しいうちに買い物に出ればいいものを、灼熱の暑い昼の最中に、出なくてもいいのに自転車で出る・・といった場合だ。効率よく朝に動けば、汗をビッショリ掻かず、衣類の洗濯もせずに済む・・といった話になる。自転車は小回りが利くが、暑さ、寒さ、雨などには不向きだ。しかし、快適な気候で時間がある場合などは自転車で・・というのが運動にもなるから、効率よく・・といえるだろう。時と場合[ケース・バイ・ケース]で判断して使い分けること・・これこそが効率よく・・の基本形なのである。
仕事が早く終わり、早乙女は、さて、これから…と、考えていた。いつもより小一時間ばかり早い五時に職場を出てしまったからだ。アノ店へ寄れば、いい気分で酩酊し、まあ少なくとも三時間は壷入りすることになる。小一時間を引いたとしても二時間だから、五時+二時間=七時か…と、早乙女は足を一端、止めた。歩道の途中で急に止まったものだから、往来の人は訝しそうな顔で早乙女を見ながら通り過ぎていく。七時は妻の機嫌を損なう恐れがあるギリギリの時間だからだ。早乙女は、ここは効率よくいこう! と、目論んだ。ウダウダと適当に飲めば、恐らく七時は過ぎるだろうから、ボトルで数杯! ・・これで効率よく六時半には…という算段だった。
アノ店は誘惑の光を灯らせ、早乙女を待ち構えていた。
「…いらっしゃいませっ!」
「… キープ!」
「はいっ…」
常連に多くの言葉は要らない。早乙女とバーテンは、二言三言言葉を交わしただけだった。コトは早乙女の目論見どおり進むかに思えた。がっ! しかし、である。効率よく進み過ぎ、考えていた時間より20分ばかり早く進んでしまったのである。これは、いかん! …もう、1杯っ! 早乙女は思わず、そう口走っていた。
結果は…多くを語らずとも、読者の方々には、もうお分かりだろう。早乙女家から五月蝿いばかりの叱声が聞こえるではないか…。^^
効率よく・・は、失敗しないことを含むのである。
完




