87/100
-87- 歌詠(うたよ)み
暮らしの中の趣味の一つとして、歌詠み・・がある。これには、川柳、冠句、俳句、そして和歌、連歌などがあり、詠むことにより、風流な気分を堪能し、フフフ…と雅心で独り、悦に入る訳だ。^^ 個人的な趣味だから、詠むこと自体、何も思わない他人からすれば、どぅ~~ってことない…と思えるに違いない。
とある二人の老人が一句、詠んでいる。
「老いの脚 ころんで 見上げ 朧月」
「…転びましたか。転んじゃ、いけませんな。大丈夫でしたかっ?」
「ええまあ、お蔭さまで。軽い打ち身くらいで…」
「そりゃ、ようございました、お大事に。… ウキウキと 開ける戸棚に オハギなし」
「ははは…誰ぞに先を越されましたな。残念なことでっ!」
「孫でした…」
「ほう! お孫さんでは怒れませんな…」
「ははは…左様で」
二人が座る床机近くに植えられた川辺の柳が風に楚々(そそ)と揺れる。ピンッ! とくる人には、もうお分かりだろう。感じさせる・・これが雅心なのである。二人の歌詠みは続いていく。^^
完




