表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/100

-86- 単調(たんちょう)

 また、これかっ! と、食事どきの出された惣菜そうざいに怒られるご主人もおありなのだろうが、日々の暮らしの中で同じように繰り返される単調たんちょうなリズムというのは大事なのだ。その平和なサイクルの有難ありがたさを、ほとんどの人は気づいていないか、気づいていたとしても、ついつい忘れがちとなり、愚痴ぐちるのである。むろん、個人的な悪いくせや生活習慣病・・などという繰り返しは、単調な、いいリズムとは言えないが…。

 とある夜間の大学構内である。まだ講義が始まっていないのか、長机ながづくえが並ぶ講義室内は、勤めに疲れながらも講義を受けようとする二部の学生達でざわついている。ざわつける余力の存在は、若さの所以ゆえんだ。

「あいつ、また食ってるなぁ~」

「だな…。今日もカップ麺か」

「…蟹崎かにさきかっ! ははは…それも同じ机の同じ場所で、だっ!」

「生協食堂で湯を入れて、それでご到着だっ! きもせず、単調だな、あいつ…。明日、先に座ってやれば、どうするだろうなっ?」

 悪さを思いついた猿野さるのは、硬柿かたがき投下なげしたを意地悪っぼく見ながらそう言った。

「発想がお前らしいっ! 猿野。俺は遠慮しとく…」

「俺も、そういうのは…」

 硬柿と投下は、はっきりと辞退じたいした。

「そうかぁ~? 別に悪さをする訳じゃないんだが…。んじゃ、俺がワルになるかっ、ははは…」

 次の日の夕方、早めに講義室へ入った猿野は、いつも蟹崎が座る席で講義が始まるのを待った。そして、一時間が経過した頃、学生達が講義に集まりだした。蟹崎も当然、入ってきたが、いつもの席に猿野が座っているのを見て一瞬、躊躇ちゅうちょした。が、しかし、次の瞬間、ひと息、大きな深呼吸をすると、席の後部フロアへ、ドッペリとうすのように胡坐あぐらをかいて座った。その表情は何事も無かったかのように、である。ばつが悪いのは悪さを思いついて座った猿野だ。なにせ、自分の後部下には蟹野が座ってアンパンを頬張っているのである。

「…よ、よかったら」

 いつの間にか、悪びれた猿野は蟹崎に弱い声で席をゆずっていた。ナントカ合戦の終結である。^^

 単調ないい繰り返しは、やがて実を結ぶ訳だ。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ