-83- 曇(どん)よりした日
晴れる日、曇る日、雨の日、嵐の日・・と、日々は流れていくが、なんとも曖昧なのが曇よりした日である。ぱきつかない・・というか、中途半端な日で、降るのか降らないのか、それとも晴れるのか、はっきりしろっ! …と、気の短い人なら思わず空に向って愚痴る日、それが灰色の雲が全天を覆い尽くす曇よりした日なのだ。何もこの曇よりした日は、報道される気象上の天候だけを指すのではない。私達が暮らす日常でも絶えず渦巻いている事象なのである。過去の政治史で使われた[灰色高官]もその一例だろう。ただ、今は? と訊ねられても、私は中央政界の諸事情には疎いので、ニャゴらずワン! とも言わないことにしたい。^^
薄墨色の空で覆われた空を見上げながら、とある一人の主婦が洗濯物を干す場所で迷っている。
「軒に干した方がいいかしらっ?」
そこへ現れなくてもいいのに現れたのが、欠伸をしながらボリボリと首筋を掻く主人である。
「外でもいいんじゃないか…」
主婦としては委員長への越権行為にも等しく、大きなお世話な訳だ。それに、人ごとのような物言いが、なんとも腹立たしい。
「そんなこと、分かんないじゃないっ!!」
ここは強く出ないと…と、主婦は強行採決に打って出た
「いや、大丈夫だって! この空は降らんっ! 俺の長年の勘だっ!」
主人は強行採決を阻止しようと意固地になり、恰も主婦を取り囲むかのように反論する。
「まあ、いいわっ! でも、降ったときはあなたが責任とってねっ!」
主婦は付帯決議付きで議案を通過させた・・のではなく、洗濯物を軒へ干し始めた。
二時間後である。主人は激しく降り始めた空を恨めしげに見上げながら洗濯機を回していた。
曇よりした日は、やはり油断がならないのである。^^
完




