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-8- 沈着冷静(ちんちゃくれいせい)

 四字熟語に沈着冷静ちんちゃくれいせいというのがある。日々の暮らしの中で、差し迫った事態にもあわてず、騒がず、乱れず・・物事に平常心で取り組む心の有りようをいう。これが、どうしてどうして、言うはやすおこなうはがたし・・で、なかなか普通の者には出来ない。他人にえられれば、つい吠え返したくなり、口喧嘩くちげんかになってしまう・・といったたぐいである。

 ほとんど散ってしまった葉桜はざくらでながら沈着冷静に花見ならぬ葉桜見をする風変わりな男がいた。桜の木の下に広げられたバランシートの上には、アレやコレやの酒、料理が、それこそ満開の桜のように置かれ、どちらが主役なのか分からない上下の景観をかもし出していた。

 通りかかった通行人二人が、そんな男をチラ見しながら話をしている。

「あの人、変わってるねぇ~」

「ああ、毎年、いるよ。いつやら、気になったもんでさぁ、声かけてみたんだ。『もう散ってますよっ!』ってね」

「やっこさん、なんて言った?」

「『沈着冷静にて下さい。まだ三分咲きです』だってよ」

「ふ~~ん。どう見たって葉桜だぜ、ありゃ」

「ああ…。だが、そう見るのはトウシロなんだってよっ! プロには三分咲きに観えるんだそうだっ!」

「イカれてるねぇ~!」

「ああ、イカれてるっ!」

 だが、ある意味で、このイカれた男は正しかった。男は、心に咲き乱れる翌年の花見をで、楽しんでいたのである。

 沈着冷静になれば喜怒哀楽を離れ、先々の景観が浮かぶようである。


                   完

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