-76- 確認
最新情報は、この短編集-26-に登場したが、もう少し話を膨らませたい。決して腹を満腹に膨らませるだけの下世話なお話ではない・・とだけは申し添えたい。^^
最新情報は得たとしても、その確認が大切となる。確認を怠れば、最新情報の意味を成さなくなるからだ。今日はそんなお話である。
日曜の朝、笠舟家では一大騒動が勃発していた。
「だからっ! そこへ置いといたって言ってるでしょうがっ! 疾呼い子ねっ!!」
「だって、お姉ちゃん・・ないもの…」
小学校1年になったばかりの蕾は、姉の茎葉に完全否定され、半ベソを掻きながら勉強部屋の角を探し回っていた。昨日の夜、両親に買ってもらった新しいぬいぐるみを茎葉に見せたあと、すぐにお風呂へ入り、そのまま眠ってしまったのである。毎晩、ぬいぐるみを抱いて眠る蕾にしては珍しい失態? ^^で、朝になって気づき、訊ねた・・という場面だ。
「ちゃんと、そこへ置いといたわよっ! 寝る前に確認したんだからっ!」
二つ上で3年生の茎葉も意固地になってきた。
「ぅぅぅ…だって、ないよぉ~?」
とうとう蕾はシクシクと泣き出した。ついに本格的な梅雨入りである。
「置きましたっ!!」
茎葉の太平洋高気圧も勢いを増し、前線を押し上げようとする。
「だってぇ~~っ!!」
蕾の泣き声が大きくなる。大陸の春の高気圧も負けていない・・といったところだ。そこへ、キッチンにいたママの花美が勉強部屋へ入ってきた。
「あらっ! どうしたのっ!! 苛めちゃダメでしょっ! お姉ちゃんなんだからっ!」
「苛めてなんかいないわよっ! 蕾が勝手に泣いてるだけっ!」
「…どうしたの、蕾?」
「ぬいぐるみがぁ~~! ぅぅぅ…」
梅雨の雨足は激しさを増す。
「ああ! アレっ? アレは私が茶の間へ置いといたわよ…」
蕾は茶の間へと駆け出したが、すぐ戻ってきた。
「ぅぅぅ…ないよぉ~~っ!!」
雨は、いよいよ、その激しさを増す。そこへ庭の手入れをしていたパパの幹男が勉強部屋へ現れた。
「ははは…なんだなんだっ! 朝から偉い賑やかだなっ!」
「パパぁ~~!!」
蕾は幹男に、しがみつく。
「どうした、蕾っ! ははは…」
幹男はすぐ、蕾を抱き止めた。
「蕾のぬいぐるみ…」
花美が事情を説明する。
「ああ! 買ってやったアレかっ! ははは…庭に降りる前、茶の間にあったから、俺がベッドに…」
幹男の声が終わらないうちに、蕾はベッドへ駆け出していた。
「あったぁ~~!!」
Uターンした蕾の顔に笑みが戻り、梅雨明けとなった。
なにごとも、最後の確認が重要・・というお話である。^^
完




