-74- 心地(ここち)
人々にとって必要な休養は、なにも身体に限ったことではない。心身ともに・・という言葉があるように、暮らしの中で心の休養、リフレッシュも必要なのだ。ああ…いい心地だっ! と感じるのは、心が寛いでいる状態であり、恰も心がのんびりと温泉に浸かり、いい気分で湯治しているような状況である。♪アァァァ~~~♪と、鼻歌が出ているかも知れない。夢見心地・・という言葉も、心の一杯気分でリフレッシュしている、そんな状態を指す言葉だろう。
久しぶりに温泉旅行に出かけた二人の列車内の会話である。田畑が散開する中、列車は長閑にゆったりと揺れ、走っている。
「なんか、流れる自然の風景を眺めているだけで、いい心地ですなっ!」
「そうですっ! どういう訳か心が和みますなっ!」
「え~~と、次は腰板駅で乗り換えてと…祇部洲線の地量駅でしたなっ!」
「はい、そうですっ! 地量駅からは里波尾里線で目的地の対印温泉まででした、確か…。地方のローカル線は、なんとも風情があっていいっ! 無人駅が結構、ありますからなっ!」
「そうそう! その無人駅が、またなんというか…」
「ええ、そうです。人気のない寂れた感ですか? これがまた、実にいいんですなっ!」
「そうそう! 心地いい訳ですっ!」
「…で、そのイヤホンで聴いておられるのは?」
「ああ、これですか。私、旅に出るときは、いつも童謡カラオケのCDを持ち歩くんですよっ! ははは…お笑い下さい」
「いえ、ちっとも。いいことです。私も次からそうしましょう」
「はあ、そうなさるといい。いい心地で、倍、心が和みます」
「これは、いいことをお聞きしました。それだけで、この旅、もういい心地になりましたよ、ははは…」
いい心地を求めて、二人の旅は続くのであった。^^
心地の休養、リフレッシュは、殺伐とした今の時代、身体以上に必要なのかも知れない。
完




