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-73- 都会化

 どこに住んでいようと、文明の波はヒタヒタと音を立ててやってくる。文明が進むと私たちの暮らしは少しずつ都会化していく。それは一挙いっきょに・・ということはないが、いろいろと理屈りくつ、時には理屈をねて変化を重ねる。暮らしの中で日々、都会化は忍び寄ってくるのだ。あるときは日常生活で使われるほんの小さな物、またあるときは、景観といった大きな物・・と、変化の様相は様々(さまざま)だ。

 とある公園の道で、散歩中の犬を連れた二人の老人が立ち止まり、話し合っている。長話ながばなしに犬も、いい迷惑顔だ。しきりにリールを引っ張って先をうながすが、老人二人は、まったく動じる気配けはいがない。

「ほう! それがスマホとかいう電話ですかっ! 便利になりましたなっ! 私は昔人間でして、今の時代のことはサッパリで…」

「ははは…私もそんな新しい人間じゃないんですがね。なんとか言うんでしょ? そういうの…」

「…アナログ人間ですか?」

「そう、それっ! 前の携帯を孫にダサいっ! とか言われましてねっ! それで仕方なく、家族づきあいのため、買い換えた・・というようなことで…」

「ははは…家族づきあいも大変ですなぁ~!」

「ええええ、そらもう…。老人生活もわびしくなりましたよっ、ははは…」

「文明進歩は見えない力で押し寄せています」

「都会化ですなっ! あらがえませんっ!」

「まことにっ!」

 そのとき、スマホに換えた老人の携帯が鳴った。ところが、使い方が分らない老人はいじくりながら右往左往し出した。連れられた犬が、ダサいご主人だっ! とばかりに老人を見る。

「ははは…切りました。やれやれです」

 呼び出し音が途切れ、老人は人心地ついたのか、安堵あんど溜息ためいきを一ついた。

「ははは…都会化は、あなどれませんなっ!」

「ははは…まことにっ!」

 二人の老人は軽くお辞儀をすると、ようやく左右に別れ、歩き出した。ようやく歩けるようになった二匹の犬は、老人は侮れない…と思った。


                   完

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