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-72- やるか、やらないか…

 やるか、やらないか…という分岐路に立たされたとする。さて、どちらを選ぶか…というとき、人には二つのタイプがある。安全と思える道を多くの人は選ぶのが通例だが、そのとき、危険な方を進むのには決断力がいる。果たして出来るのか? と自分自身に問えば、いや、やめた方が無難ぶなんだ。また、別の機会にやろう! …と安全策を取る方が間違いがないからだ。だが、それではコトが一歩も前進しないのも確かである。ええぃっ! なろうとままよっ! と開き直り、やると決めた人は強い。無理かも知れないと分かっているぶん、普通では考えられないちからが出るのだ。火事場かじば馬鹿力ばかぢから・・と言われるやつだ。自分自身でも知らないうちに徹底的にやってしまうのである。その意味では、やるか、やらないか…の分かれ道に立ったときは、やった方がいいのかも知れない。やっていれば…と、のちのち後悔こうかいするよりは、ずっとよい。

 登山途中の二人が峠の分かれ道で迷っている。

「無理ですよ、どう考えても…。今からですと、このまま下った方が無難ぶなんだと思うんですがね…」

「いやっ! 大丈夫ですっ! 日暮れまでには山小屋へ着けるはずですっ!」

「…本当に大丈夫ですかっ!?」

「大丈夫、大丈夫っ!  やるか、やらないか…ですよ、はっはっはっ…」

「そうですか? …でしたら、そうしましょう」

 渋々(しぶしぶ)ながら、慎重派の男は積極派の男に押し切られ、山小屋へ向う道を進むことにした。

 一時間後、二人は、かろうじて山小屋へ辿たどり着くことが出来た。暗闇くらやみのベールがあたり一面をおおくす直前だった。

「なんとかなったでしょ!」

 山小屋の前で積極派の男はそう言った。面目躍如めんもくやくじょといったところだ。

「確かに…」

 消極派の男はうなずくしかなかった。そして二人は山小屋へと入った。

「お客さんっ! 悪いんですが、満員なんですよっ! 入口でも構いませんかっ?!」

 山小屋の受付係員が間髪かんぱつおかず、ひと声、かけた。

「…はいっ、分かりました。それで結構ですっ!」

 本当のところ、結構もなにもあったものではない。幕営ばくえい装備を持たない二人だったから、外なら凍死も覚悟せねばならなかったのだ。

「半額にしときますよっ、ははは…。まあ、夜露は防げまさぁ~」

 受付係員は気楽に笑い、黒々と伸びた顎鬚あごひげを自慢たらしくでつけながら山男らしく言った。消極派の男は、俺の方がフカフカの布団だったぞ…と思った。

 ところが、この話には余談がある。この日、下界は天候が大荒れに荒れていたのである。もし、二人が下りていれば、ふもとまで辿たどり着けたかどうか? という命の危険があったのだ。やはり、積極派の男が正解だった・・ということになる。

 やるか、やらないか…? 男なら、やってみなっ! というところだが、女性の場合にも言えることは確かである…。^^


                   完

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