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-7- 嘆(なげ)かわしい現実

 この世では、余り知りたくない現実も多々ある。それを知らず、あるいは知らされずに私達は軽く生きている訳だ。知らない方が極楽で、知って地獄・・ということもあり、この世はそれほど狡猾こうかつで生きにくい世界なのである。出世したからといって世の中をあなどって油断していると、出世する以前よりひどい仕打ちに会うことだってある。議員さん達には誠に申し訳ないたとえとなるが、政治資金規正法の記載漏れ・・とかで、ガックリ! されることがある、あのたぐいだ。要は、一寸先の油断も出来ない世の中・・ということになる。ならば、知らず、知らされずに軽く生き、世の中を楽しんだ方がいいじゃないかっ! という結論に至るが、いや、それは違うっ! と声高こわだかに否定できないのだからこわい世の中ということになるだろう。

 とある公民館で開かれている老人会の一場面である。

 出された幕の内弁当を食べながら、志和吹しわぶきは隣に座る銅毛あかげ朴訥ぼくとつたずねた。

「最近、老尾ふけおさん、お見かけしませんが、あなたご存知ですかっ?」

「いゃ~、くわしいことは知りませんが、聞くところによれば、オレオレ詐欺さぎに引っかかられたとか…」

「銅毛さんが言われるんだから、そうなんでしょうな…」

「はあ、まあ…。実になげかわしい現実ですっ」

「それで、この地を去られた・・ってことでしょうか?」

「いや、そこまでは…。ただ、お金に困っておられた・・とは聞いております…」

「ひとことくらい同じ老人会の私らに相談されてもよかったんですがね」

「ええ…。おいくつでしたかね?」

「確か…私より一つ下ですから、74(ななじゅうし)かと…」

「74ですか…。嘆かわしい現実になる訳です」

「7[な]げかわ4[し]い、だけに・・ですか?」

「ははは…まあ」

「ははは…。いや、笑いごとじゃないっ! いつ我が身とも分かりませんからなっ!」

「…ですな」

 嘆かわしい現実に、二人はテンションを下げ、急に押し黙った。


                   完

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