-54- 料理
暮らしの中で出される家庭料理は数々(かずかず)ある。確かにあるにはあるが、世界に散在する総ての料理の数として考えれば、それは宇宙の中のほんの星屑の一つに過ぎないのである。要は、日々、違う料理を朝昼晩と食べ続けたとしても、一生かかっても食べ尽くせない・・ということを意味する。
仲のよい友人二人が久しぶりに出くわし、とあるレストランで食事をともにしている。
「おやっ? そんなので、いいんですか? 壷焼さん。メニューはいろいろ他にありますが…」
「ははは…砂浜さん。私は粗食を旨と致しておりますので、この程度で…。お構いなくっ」
「そうですかぁ~っ? その料理では、あんまり…」
壷焼がオーダーしたのはミート・スパゲティとホット・ミルクだった。比較ではないものの、砂浜がオーダーしたのはフルコースであり、なんとも不釣り合いな二人が向かい合って席に座っているのだった。
「ははは…料理ものは、もう食べ飽きましてなっ! 今では、まあ、この程度で…」
「そうですかぁ~っ? なんだか悪いですなっ!」
「いえ、ちっとも! 遠慮なく…」
そうこうして、二人は運ばれた料理を食べ始めた。壷焼の前は、なんとも貧相で、片や砂浜はゴージャスこの上なく、壷焼は傍目には見るも哀れに映った。壷焼は平静にスパゲティをフォークで啜っていたが、言葉とは裏腹に、砂浜の口にする料理に舌なめずりしていたのである。実のところ、二人の違いは財布の内容量の多少だった。
料理は財布の内容量の多少に影響される・・ということだろうか?^^
完




