-51- 骨が折れる
日本語には上手い言い回しがある。骨が折れる・・という言い回しもその一つだ。本当に骨が折れた訳でもないのに、そう言い回して苦しい状況を説明しようとする場合の言葉である。
梅雨どきの、とある繁華街である。湿川とその友人、乾山が鬱陶しく降りしきる雨空を見上げながら、歩道を歩いている。
「ほんとに、よく降るなぁ~」
「いや、そうでもないんじゃないか。毎年、こんなもんだよ」
「そうかぁ~?」
「ああ…」
「こう降ると、外回りの営業が大変だっ」
「ああ、まあそうだな。骨が折れる訳だ…」
「ああ、この傘、今年で三本目だ。嫌になるよっ!」
「そんなに?」
「ああ…。折り畳む機会が多いからさ」
「ははは…骨が折れて、骨が折れる訳だ」
「上手いっ!」
「骨が折れりゃ、接げばいいだろっ?」
「骨折じゃあるまいし…」
「俺達だって、折れりゃプレート入れたりするじゃないかっ!」
「まあ、それはそうだが…」
「やってみる価値はあるぜっ! 買い替えでポイ捨てるだけじゃ、どうも戴けない。だろっ?」
「ああ、まあ…。どの道、骨が折れるかっ!」
二人は大笑いした。
次の日、梅雨は上がった。
完




