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-50- 無い生活

 暮らしの中で欲しいモノが手に入らないと、人はそこにある別のモノで代用する。さらに、そうした事態が続けば、違うモノでその欲しいモノに近いモノを作ったりする。これは人類に備わった特殊な能力で、無い生活に順応しよう・・とする力だ。歴史に残る発明、発見は、そうしたたぐいだ。逆に、有る生活が続く現代社会では、人類に備わったこの能力が鈍化どんかしたり退化たいかする現象が生じる。この事象を、そんなことはないっ! と否定する学者連中も当然いるのだろうが、長い時の間隔[スパン]でとらえれば、否定しようがない事実なのである。

 とうが立ち過ぎた熟年夫婦の会話である。

「おかしいなぁ~? ここに入れておいた小物入れ、お前、知らないかっ!?」

「知らないわよっ、そんなのっ! どこかにまぎれ込んでんじゃないのっ!!」 

 妻に逆襲された夫は、ティラノザウルスに追い立てられる小物の草食恐竜のように撤収てっしゅう余儀よぎなくされた。

「…そうか、仕方がない。アレを小物入れの代わりにしてみるか…」

 そうつぶやいた夫は、スゴスゴと自室の書斎へと消え去った。

 ここは、書斎である。夫は見当をつけた代わりの品を手にしてみた。ところがそれは小物入れにしては大きく、どう見ても中物入れに見えた。

「まあ、無くても支障ししょうはないが…」

 夫は負けず嫌いのように無理矢理、納得し、一端いったんあきらめた。がしかし、やはり諦めきれず、五分ばかりするとふたたび腕組みをした。

「… これを少し小さくすれば、小物入れになる訳だ。…まあ、出来なくもない。やってみるか…」

 そうして、中物入れの小物入れ化への作業が始まったのである。

 やがて小一時間が経過したとき、どうやら小物入れ化の作業は完成を見た。

「ははは…出来たぞっ!! 無い生活は新しいモノを作る訳だなっ!」

 夫は満足した快心かいしんの笑みを浮かべ、出来上がった小物入れを広げてみた。ところがそのモノは底が抜け、残念ながら小物入れ化していなかった。

 無い生活は、工夫するという種々(しゅじゅ)の可能性を与えるが、必ずしも成功するとは限らないようだ。^^


                   完

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