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-5- 手際(てぎわ)がよい

 暮らしの中で日々、ごしていると、結構、無駄な時間を使っている…と、気づかされることがある。手際てぎわが悪いからで、よければそういうことにならない・・と気づかされる訳だ。

 とある店の中で、買い物客と店員が話をしている。

「お客さん、そう手際よくはいきませんよっ! なにせ出荷するのは、うちじゃないんですから…」

 商品の回転が悪いと客が苦情を言ったのである。

「いや、そらまあ、そうかも知れないけどさぁ~。よく見てよっ! この野菜、しおれてるよっ!」

 その瞬間、店員は店内を見回し、他の客に聞こえないよう、声を小さくした。

「さ、流石さすがお客さん。目のつけどころが違いますねっ!」

おだてたってダメだよ。手際よくしなさいよっ!」

「? …と、言いますと?」

「分からないっ? 手際よくだよっ、…たとえば、¥20引きにするとかさぁ~」

「ああ、そういうことですか、なるほどっ!」

「だろっ?」

「はあ、まあ…。でも、そう手際よく安売りは出来ません。うちは日銭ひぜにあきないでして…」

「だけどさ。これ、腐らせたら元も子もないでしょうよっ!」

「2たばで同じ値というのは、いかがで?」

「…まあ、それでもいいけどさぁ~。3束にしなさいよっ!」

「分かりましたっ! 手際よく、今すぐそうしましょ!」

 そこへ店長があらわれなくてもいいのに運悪く現れた。

「あっ! 店長…」

「ちょ、ちょっと、こっちへ来なさいよっ!」

 店長につつかれ、店員と店長は客から遠退とおのいた。

「どうしたのっ?!」

「お客さんが、コレコレと言われまして、同じ値で3束に…」

「どうしてっ?!」

「萎れてるからです…」

「馬っ鹿だね、お前ってヤツはっ! こういうのは、あとから店の者で手際よく分けるんでしょうよっ!」

「あっ! そうでしたっ!」

「お前…手際が悪いねっ。手際がよいと、客にそういうことは言われないもんだっ!」

「どうも、すいません…」

「お客に、上手く言いなさいっ!」

 店員が売り場へもどると、苦情を言っていた客は手際よく姿を消していた。長びく…と、見切ったのだろう。

 手際がよい人は、することに一瞬の無駄もないのだ。


                  完

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