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-45- 分かれ道

 暮らしていると、さて、どちらを…とか、どちらに…などと、選ぶべき道や方法、物で悩まされることがある。その分かれ道が多岐たきに分かれるほど、その悩みは大きくなる訳だ。

 棋院の会館でとある囲碁の棋戦きせんが行われている。和間の幽霊のには[幽霊幻覚]と書かれた達筆の掛け軸がかかり、なんとなくこわそうな雰囲気をあたりにただよわせる。

猪掘いのほり名人、残りあと6回です…」

 時計係の芋川いもかわ二段が朴訥ぼくとつに残り時間を告げる。猪掘は次の一手を、さて、どうしたものか…となやみに悩み、熟考じゅっこうしていた。

 別の大部屋では、全国から選抜された有段者を前に、棋戦の様子が大盤で解説されていた。

「どうなんでしょう?」

 若い女性棋士の千波三段がもう一人の老練な男性棋士の解説者、澤藤九段にたずねる。

「ええ…なかなか、悩ましいところです。こういけば、こうなり、こういけば、こうなりますが、出られてサッパリです…」

「では、そちらから、というのは?」

「ああ、そちらからですか…。そちらからですと、こうなって、こうなりますから、当然、石は生きづらく、苦しくなります」

「苦しいですか?」

「ええ、きつい山道を登るように…。まあ、生きられなくもないですが、(つら)辛いですよね。強烈な努力! これが肝要かんようとなりますっ! ただ、生きるだけというのは…。その辛さをけ、こうですと、こうなり、前の手順で出られます。どちらも一局ですが、この局の勝敗を決める分かれ道でしょう」

 そのとき、対局場では、対戦相手の道山みちやま九段が、にわかに便意べんいもよおし、トイレへ行くべきか行かざるべきか…の分かれ道に立たされていた。


                   完

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