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-42- スカッ!

 誰しもスカッ! とした気分になりたいものだ。ムシャクシャするような出来事でもあれば、尚更なおさらである。それは何も出来事に限ったことではない。暑さに向う季節の外作業や仕事は、どうしても汗が吹き出るから、スカッ! とするには、それ相応の事前工作、早い話、綿密めんみつった用意周到よういしゅうとうな行動計画が必要・・ということに他ならない。

 鮨川すしかわ食品の営業一課である。

「暑い中を申し訳ないが、鯖味さばみ物産までひとっぱしりしてくれませんか、飯洲いいずさん! そのまま帰ってくれて結構だから…」

「分かりました、課長」

 万年課長の根多ねたに頼まれた幹部候補生としてあらたに配属はいぞくされた登路とろこころよく引き受けた。登路の脳裏のうりには、スカッ! とするための綿密な行動計画が一瞬で浮かんでいたのである。その計画とは、次のようなものだった。

 1.今が4時過ぎ→鯖味物産まで20分だから→4時半には着く→書類を渡して社内の挨拶回りに30分→5時に社を出られる。

 2.帰宅までが30分→風呂でスカッ! と、汗を流す→よく冷えた美味うまい生ビール→ツマミは鯖味物産前で買うジュ~シィ~な串カツ

 3.ほろ酔い気分でくつろぎ、完全にスカッ! とする。

 この1.~3.は一見いっけん、単純な発想に思えるが、そこはエリート幹部候補生の登路の立てた計画だから抜け目がなかった。

「あっ! 母さん? 俺。5時半頃には帰るから、バスにお湯、張っといてっ!」

『はい! 分かりました…』

 鯖味物産へ向う途中、登路は歩きながら母親へ携帯を入れていた。これも、スカッ! とするための無駄がない登路独自の行動計画の一つだった。

 まあ早い話、スカッ! とするには、それなりの準備工作が必要・・ということだろうか。^^


                   完

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