-37- 心地(ここち)いい
春ともなれば爽やかで気分のいい空気が流れる季節となる。暑くもなく、かといって寒くもない、思わずウトウトするような、恰も猫じみた気分にさせる季節である。この気分を、人は心地いい・・と表現する。
二人の老人が、いつものように公園の木漏日の下のベンチで寛いでいる。爽快な風が時折り、二人の頬を撫でる。
「なんか、いいですね…」
「はい…心地いいとは、まさにこの気分ですなぁ~」
「はい、確かに…」
「これ、買っときました…」
「おお! 今日は魚フライ・デラックス弁当ですかっ!」
「お気に召しましたかな?」
「ええええ、そらもう…。家では文句が言えませんからな…」
「義父的には食べない訳にも参りません」
「ははは…そういうことです」
二人はいつも、交互にお気に入りの弁当を買ってきて公園の下で食べるのが日課だった。互いに金を請求しないのがルールとなっていた。曇りや雨、それに嵐の日は公園前の市立・憩いの里と呼ばれる施設内で食べたが、それが飽きもせず、日長一日・・いや、日長一年続いていた。これが二人にとって唯一の心地いい習慣だったのである。
世の中の暮らしの中では、笑えるような心地いい場面が、いろいろと起こる。^^
完




