-3- 風邪(かぜ)気味(ぎみ)
妙に身体、特に顔が少し熱ばったように熱く感じられ、どうも風邪をひいたのか? と自分自身で思える状態・・これを人は 風邪気味と言う。この 風邪気味というのは実に厄介な状態で、風邪をひいたっ! ひいているっ! と断言できるほどのこともなく、そうかといって、風邪ではないっ! とも言いがたい、なんとも中途半端な状態なのだ。
「すみませんねぇ~、虎野さん」
「いや、いいんですよっ! 誰でも風邪はひきますから…」
「いえ、風邪ではないんです。風邪気味なんです、実は…」
「ええええ、まあそうだとしても…」
「いえ、それは違いますから、きちんとしないとっ!」
虎野は、この人、堅苦しい人だなぁ…と思いながら笑顔で聞き流した。
話は小1時間ばかり前に遡る。
「妙だなぁ~。どうも口の中が熱張ります…」
「風邪なんじゃないですか?」
「そうなんでしょうか?」
「ええええ。ひき初めは、そうしたものです。私、これから少し出ますので、買っておきましょうか?」
「…はい、それなら」
風邪ではなく風邪気味の獅子岡は虎野に言われるまま、風邪薬を買ってきてくれるよう頼んだのである。そして、虎野は風邪薬を薬局で買ってきた・・と、まあ話はこうなる。そして、立て替えてもらったお金を支払おうとしたとき、堅苦しい話になったのである。
風邪気味だと堅苦しい話になる・・ということだが、どうも発熱の影響でもあるようだ。
完




