-2- 晴れ
空は曇よりと曇っていた。天気予報で昨日、晴れると言っていたが…と、蜆川は早朝、部屋のカーテンを開けながら思うでなく欠伸をした。まあ、曇よりといえば字のとおりで、雲の上はお日さまがグデェ~ンとされておられるかまでは定かでないが、輝いておられるのは疑う余地がない事実だった。それは、飛行機に搭乗し、煌く太陽と広がる雲海を見れば分かることなのである。
「まあ、いいか…」
何がいいのか、口にした蜆川も分からなかったが、そこはそれ、いつものワン・パターンで動き始めた。今日はこれといって予定がなかった蜆川は、洗面を済ませて庭へ出たが、雑草が伸び始めていることに、ふと気づいた。雑草には申し訳ないが、放っておけば草だらけの庭になる…と、これも思うでなく閃いた蜆川は、愛用の移植ゴテを片手に除草を開始した。雑草は根ごと抜き取り、ポリ袋に入れて腐葉土がわりにリサイクルする。根ごと抜き取らないと、すぐ勢いを盛り返し、繁茂することは明々白々(めいめいはくはく)で、考えるでなく自然と手先を動かし始めたのである。春先ということもあり、そう大した草量でもなく、除草作業は20分ほどで片づいた。家の中へ戻り、履いていたサンダルを脱ごうとしたときである。蜆川はサンダルの裏が汚れていることに気づいた。こりゃ、洗っとかないとな…と、蜆川は思うでなく巡り、外の洗い場で洗い始めた。そして、ようやく洗い終えたときである。おやっ? と、蜆川は、また気づいた。サンダルの底に穴らしきものが開いているではないか。よく見れば、それは釘を踏み抜いたような感じの穴だった。これは…と蜆川は、またまたまた、思うでなく感じた。幸い、修理用の小物はDIY[do it yourself の略で、日曜大工を意味する用語]専門店で買っておいたから、それを塗って穴を塞ぎ、修理を終えた。そのときである。
「数日は安静にして下さい、お大事に…」
蜆川は言うでなくサンダルに呟いていた。次の瞬間、蜆川は自分がアホに思えた。と同時に、雲間より微かな陽が射し始めた。
完




