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-10- その気

 映画館を出た途端とたん、コロッ! と人が変わっている場合がある。まあ、一過いっか性のものだが、それでもわずかなあいだ、人は観た映画の格好いい主人公になり切る。要するに、その気になるのである。

 とある田舎町の昼過ぎの映画館前である。久しぶりに町へ出た蕗尾ふきおは、さてどうしたものか? …と、映画館の前で思案に暮れていた。この時間帯で上映される映画が2本あり、どちらも観たい映画だった。

『[串カツ慕情]も面白そうだが[怪傑かいけつ葱頭巾ねぎずきん]も捨てがたい…』

 蕗尾の心はれに揺れていた。そこへやってきたのが、近所の生節なまぶしだ。

「やあ、これは蕗尾さんじゃないですか」

「ああ! 生節さん。映画ですか?」

「はあ、まあ…。葱頭巾を観ようと…」

「このシリーズは痛快ですよねっ!」

「ええええ、おっしゃるとおりで…。悪人を退治したあと、残していく1本の葱坊主が、なんとも格好いいっ!」

「そうそう。役人の大根おおね花助がやってきて、「また、葱頭巾にしてやられたかっ!』と口惜しがるあのワン・パターンが実に痛快ですっ!」

「はいっ! じゃあ、入りますかっ!」

「ええ!」

 二人は高揚こうようして切符を買うと、映画館へ入った。

 数時間後、蕗尾と生節は完全にその気になり、二人の怪傑葱頭巾が映画館から美味うまそうに出てきた。


                   完

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