第5話
遅くなりました!<(_ _)>
今日は驚くことばかり。
今日、両親と血がつながっていないことを知った。
この21年間、両親だと思っていた人と血がつながっていない…。
血のつながりだけが家族の定義ではないってわかってる……
わかってるけど、心が追いつかない。
私の本当の親は誰?
わからない…。
親に直接聞いたわけではないから、聞けない。それに、本当の親に、いらない子って思われてたら、辛いから聞けない。
私は家を飛び出した。
宛もなく、とぼとぼと歩く私に追い討ちをかけるように雨が降り出す。
ポツポツと控え目だった雨も、ザーッと強い雨になり、私の身体を濡らしていく。
道行く人は、傘もささずに歩く私を怪訝な表情でみる。
雨に濡れ、身体も心も冷えた。
私、なんでここにいるんだろう…。私は……誰にも必要とされていない…?
冷えた心では、まともな考えも浮かばない。ただ、暗いことばかり考えてしまう。
そして、宛もなく歩いていたのに、気が付くとお気に入りのカフェ エトワールに着いていた。
カランカランー……
扉の鈴を鳴らし、店内に入る。
濡れている私を見たマスターがタオルを貸してくれた。
優しいマスター。
借りたタオルで拭き終える頃になると、カフェにいる猫がすり寄ってきた。
まるで、“一人じゃないよ。“
って言ってくれてるみたい……。
優しいマスターに優しい猫に暖かい気持ちになって、笑顔になる。
マスターが話を聞いて欲しいといってくる。
珍しい……。
いつもは、話さないし、どちらかと言うと聞き手のイメージ。
マスターの話は、ある30歳代の男性の恋物語。
恋物語が好きな私は聞き入ってしまう。
そして、マスターは話終えると
、この恋物語は自分のことで、相手は私だと言う。
「えっ……?」
驚いて、マスターを見てしまう。
「…マスター?……マスターが私を……?」
マスターを見ると、優しく微笑んでいる。そして、
「こんな、おじさんに告白されても困りますよね…。」
マスターは、今度はしょんぼり顔で言う。
「そんなことないです!」
気が付けば、声を大きくして言っていた。
「あっ……すみません……。」
恥ずかしくなって、謝る。
マスターが可愛い…。
年上の男性に可愛いなんて、いいのかわからないけど…
だけど、なんだか可愛く感じた。