表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/41

after the battle

「セナっ!」


息を切らしながら遥が向こうから駆けてくる。


「大丈夫!? ケガはない?」


「あぁ……服は破れたけどな」


疲労感はハンパないが、あれだけの戦闘をして大した怪我もない。

リザの魔法のおかげか、それともこの腕輪の力なのか。


(その両方だろうな……)


そう思っていると、当人が俺と遙のそばまでやってきた。

心身ともに疲れ果てた俺とは対照的に、いつも通りの静かなたたずまいだった。


「お見事でした」


「いや……そうでもないさ。……犠牲が出たからな……」


血の海で倒れる少女に目を向ける。もう全く動きがない。

おそらく命はもう……。


俺の目線を追った遙も目を伏せ、表情を暗くする。


「ああ。アレですか」


淡々とした、素っ気ない言葉がリザの口から出る。


「ア、アレだと!? お、お前、自分の世界の人間じゃないからって、いくらなんでもそんな言い方はないだろう!?」


死者を冒涜するようなリザの物言いに、思わず声を荒げた。


「いえ。アレはただの人形です。我々の世界では、よく使われる手の一つです」


「え……って事は、人間じゃないの?」


遙が恐る恐る尋ねる。


「はい。今、お見せします」


そう言って、服の中から棒状の道具を取り出し、血の海に倒れる女生徒の方に向ける。

棒の先から光が放たれ、光の当たった部分が変化していく。

全身に光を当てた後、そこに現れたのは、血まみれになった一体のマネキンだった。

その首の後ろには、何か赤い宝石のようなものが埋め込まれている。


「おそらくは、この世界で盗んだ人形に、幻覚を見せる魔導器を埋め込んだのでしょう。

血は本物のようですが、これも何処からか調達したものだと思われます」


「どうしてそんな事を……」


 遙がその場に膝をついて、声を漏らすように尋ねた。


「真意のほどはわかりませんが、必ずしも殺す事が目的ではなかったという事でしょう。

 私たちの事は殺すつもりだったようですが」


シン……とした静寂の後、遠くからサイレンの音が近付いてくるのが聞こえた。

警察がサイレンを鳴らして校内に入ってきた頃には、すでに体育館を去っていた。


 リザには先に家に帰るように伝え、遙と二人で校舎に向かう連絡路を歩いていると、反対側から、誰かの呼ぶ声が聞こえてくる。

声の主は、ヘルメットや竹刀、モップ、お鍋のフタなどで武装した坂田とデーヴだった。


「お前ら大丈夫か――――っ!」


「さ、さっきの化け物はいずこにぃぃ!?」


 息を切らしながら、珍妙な恰好の二人の戦士が、こちらの方に向かってくる。

 その姿を見て、遙と二人、ため息をついた。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ