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異世界の運動方程式  作者: 見開き7頁
1章 加速器のビームの向こうで
2/66

雅、誕生

いきなり異世界に召喚されて勇者じゃないけど勇者より強くてユニークスキル持ちでチート級で魔王瞬殺!

これは雅くんが考えた最高の転生でした。


転生の意味からして間違っているのですが。


9/26改稿しました。

12/29また改稿しました。

どうも。雅です。気が付いたらここに居たっていう全く意味のわからん状況下におります。

しかも目が開きません。なんだか揺られているような気がします。柔らかくて暖かくて、安心感マックスです。


・・・このまま寝てしまいましょう。おやすみなさい。スヤァ。


心地よく寝ようとしたところ、周りが騒がしくなり始めた。

声色に焦りが出て来た頃、逆さまにされてお尻をはたかれた。

おぎゃあああああああ!! 痛い!!


これが私の異世界での産声(新しい人生の始まり)でした。おちり痛いよー。









 十か月前



 ガタガタッ

「・・・え?」

つい一瞬前まで椅子に座った自称神と立って話していたと思ったら、いつの間にか座っていて、しかも炬燵だった。何が起こった!?

「見れば解るだろう?」(ドヤ顔)

いや分からないよ。こいつ、やけに煽って来るな・・・


あ、ありのまま・・・タイミング逃してるな!やめよう!二十七秒かけて出たリアクションがこれかよ!

「なんだこれは・・・!?」

いつのまにか、厳かな宮殿が日本の古い民家の居間のような部屋になってしまっている。部屋が変わったのか、僕たちが移動したのかどうかは分からないが、なんてこったい。


こんなことができるなんて、自称じゃなくて本当に神なのか? と思うのだが。

「そうさ。僕は本当に神なんだ!信じてもらえるかい?」

(・・・ここは物質世界じゃないし、物理法則もへったくれもあったもんじゃないからこんなことはできて当然だよね」


 心の声を喋ってるよこいつ。実に残念だ! こいつが神だっていうのは何か認めたくない。神って威厳とか無いもんなのね。


「・・・」

 心の声(笑)で言ってたが、ここは物質世界ではないらしい。なら想像したものを具現化できるのか?仮説は出来る時に実証すべし!

「とりあえずあれだな。炬燵といえばみかんだな」


 みかん召喚!







 ――それからしばらくして。


僕はみかんの皮を剥きつつ食べる。結果から言おう。みかん召喚は成功した。ここでなら神じゃなくてもこんなことできるんだな。適当な世界だなー。神だという信憑性が墜落しそうだよ。


「いくらこの世界でも他人の位置を変化させるのは神である僕にしかできないと言ったら信じてもらえる? ていうかさっきから人の話をスルーして十個もみかん食べるとかひどくないかな?」

こいつ涙目だ。これは確かに僕には出来ない。だが出来ないのは僕だけかもしれない。

結論、信憑性に欠ける。



 ここは敢えてスルーするという手もある! 敢えてね。


「もぐもぐ・・・ところで、異世界に転生するというのは本当か?」

異世界転生ってあれだよな。いきなり死んで、目覚めたらチートな特殊能力もってて、敵をばっさばっさやってくあれだよな。

「本当だよ。さっきから何度も言っているじゃないか」

 知らん。

「素晴らしい、素晴らしいぞ!異世界で僕はチート級だ!」


「・・・ぐすん」

・・・こいつには敢えてスルーした事は筒抜けのはずだが、何で決壊寸前なんだ?


「・・・ただし、僕が言えるのはそれだけで大して加護なんか与えられない。なにせ神といっても観察者(システム)だからね」

涙目で上目使い、いいコンボだ。


整った顔でそんなことをするので、少しドキッとした。顔以外は残念だが、神恐るべし。

因みに僕はゲイじゃあないぞ? それに煽り耐性はあるのでへーきだ。嘘じゃない。



下らない事は置いといて。

特殊能力もらえないの?MAJIDE?神から授かった能力チートは?

異世界に行って特殊能力無かったら現代人のひ弱な体では死ぬじゃん!オークとかゴブリンとかにヤられて殺られるじゃん!エロ同人みたいに!

・・・男だからヤられはしないんだけどね。

というわけで一応抗議する。


「おい!異世界行ってチート能力無かったら速攻で死ぬじゃんか! どうにかしろよ!」

 すると困って眉をあげながらハッ、これだからジャップは。ってやってる外人の様に

「大丈夫。君の資質は高いと向こうの神から聞いている。確かに向こうは君が思っているようなテンプレ異世界に近いらしいし日本より危険だけど、きっと大丈夫さ。因みにオークとかは男でも・・・」

「止めろ気持ち悪い」


想像して――背筋がぞくっとした。僕はノンケだ。気があっても嫌な想像だとおもうが。


残念イケメンはそんな想像には構うことなく続けて、

「伝えるべきことは後一つになってしまった。・・・これはあまり重要じゃないね」

「そうなの?」

 なんだろうか。

「君があと五年生きていて、今まで通りの熱意で勉強と研究をしていたら、三十年後にはきみは念願の宇宙に行けてた。五十年後には月開発だ」

「一番重要じゃねえか」

研究・・・宇宙・・・僕の未来を表していた言葉だ。

その単語の羅列で、もし実験に参加しなかったら、もし地震が起きていなかったら、と考えざるを得なくなった。

もしそうだったら、僕は死んでいなかっただろうとしか思えない。というかその未来もあったんだな。聞いたのは"未来"を示す言葉だというのに、過去のことを考えている。何と馬鹿馬鹿しいことだろうか。でも・・・


転生の正しい意味を知らないまま、僕の苦悩は深まっていく。

雅くんは理系に関しては天才です。他は平凡です。もちろん運動神経も。

この時点で転生の意味を履き違えている事に気付けばオムツのショックは少ないんでしょうね。

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