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異世界の運動方程式  作者: 見開き7頁
1章 加速器のビームの向こうで
1/66

雅、死す

初投稿です。楽しんで頂けたら幸いです。

これからどう面白くしていこうか・・・


9/26 改稿。

読みやすくしました(つもり)

12/29さらに改稿。

さらに読みやすくしました。重要な内容が増えました。

 僕は黒野(くろの) (みやび)十九歳。西暦二千七十一年生まれ。ティーンエイジで居られる期間が短くて絶望している大学一年生だぞっ。

 ・・・えーと、だめだな。キモイ。学部は工学部、機械系だが、今後の研究のために工学はもちろん理論科学を学んでいる。

 中学はパルクール部、高校は軽音楽部でした。五十年前までは、どっちも一般的じゃなかったらしい。今はどっちも全国大会がある。僕は九州大会まで行ったのだがそれまでだった。


 そんな私はただいま教授にパシられています。重い荷物を持たされたり、機器のケーブルをたくさん繋いだり。しかもケーブルを間違えるとすごく怒られる。

「ふう・・・やっと準備が終わった・・・人使いが荒い教授だな」

佐々木教授にお呼ばれされて肉体労働の対価に加速器で新しい素粒子を生成する実験を見学させてもらえることになったのはいいけど、外部の人間の扱いがひどすぎて人使いが荒いどころかブラック研究室だよここ。期待されているのは分かるけど。

 そうこうしている内に全ての準備が終わった。

「では、実験を開始します!」

教授がPCを操作し始める。機械がごうと低い唸りをあげて作動し始めた。

 見た目には変化が起こらないが、加速器の中では素粒子が加速しているはずだ。

「新しい素粒子の生成か・・・こんな歴史的な瞬間に立ち会えるなんて、本当に光栄だなあ」


成功すれば、だが。



そして数時間後。使った粒子は原子量にして4000位の量らしいが、いかんせん物体を光速に近づけると質量が増すので、加速に時間がかかった。

「粒子速度、目標に到達。そろそろ衝突させるぞ!観測機器は大丈夫か?」

 電波が使えないから暇だった。ひたすら他の学部生と余り物がない部屋で喋っていたので少しはましだったが、限度というものもあった。

「チェックします・・・オールグリーンです!」

 僕はやっと実験結果が見られると、安堵の溜息を吐いた。

「それでは、ループを解除し、粒子を目標に衝突させる!」

 この加速器はジェットコースターのループを横倒しにするように設計されており、ループ部分で粒子を加速させる仕組みを取っている。十分加速した後は、少しづつ軌道をずらして円軌道平面を対象物に合わせてからループを解除しぶつけるという仕組みを取っていた。

 その最後、ループ解除をしようとしていた時、事故が起こった。


 地鳴りのような音が響く。数瞬の後、ゴゴゴゴ・・・という音と共に地面が縦に大きく揺れた。

「・・・地震だ!?」

 教授がループ解除のコマンドを実行する寸前だった。管が揺れると粒子が壁面にぶつかるかもしれないと、その場にいる誰もが懸念しただろう。だが、皆はそう思っていても地震時のセオリー通り頭を抱える。最早地震で壊れる建物はないはずなのだ。

「地震か!?軌道がずれるではないか!実験失敗かもしれない!」

 そう言って頭を抱える教授。僕とは抱えた原因は違うが、地震の時には正しい判断だな。

 まあ僕も実験が失敗すると残念だが。


 グギャアアアアアン!!


 頭を抱えて揺れに耐えていると、急に轟音が響く。

「何だ!?あ、あれは!」

 そう言った助教授さんが見た方を見ると、

「なんだと・・・加速器が折れている!?」


 マグニチュード9規模の地震でも壊れないだろうとされていた加速器だが、こうも簡単に地震で壊れてしまっては、この国の科学力を疑いたくなってくる。地震は二十年前に克服したんじゃなかったのか。耐久度弱すぎだし、壊れ方が情けない。

 しかも断面はこっちを向いている。中心は、ピンポイントで僕だ。


「被曝する!」

 瞬間、僕の意識は途絶えた。








 気がつくと神殿らしきところにいた。

 しかしヨーロッパっぽくはない。壁や天井のところどころに世界の全てを表すような装飾が施されていた。

 ふと玉座が目に入る。

 そこには一人の青年が座っていた。どうしてか、目立つところに居たのに今まで気がつかなかった。

 この人影が薄いのかな?


「こんにちは、黒野雅くん。歓迎するよ」


 いきなり声をかけられ、名前を呼ばれてて少し驚く。知り合いじゃないのにどうして名前を知っているんだ?それに影が薄い割に、話し始めるとなんだか存在感が大きい。


「・・・あれ?雅くん?聞こえてる?もしもーし?」

 ・・・うるさいな。聞こえてるよ。

「あ、聞こえてるね。では先ず・・・そうだね、君がここにいる理由を話そうか」

「ちょっと待て」


 こいつは心が読めるのか?と思い話を遮った。心の中が読めるなら確認なんてしないでいい筈だが。それに聞こえていたのは知っていたはずだ。

 というので、心を読まれるのは不愉快だ。と思い口を挟んで質問しようとした瞬間、

「そうだね。ここに地球人が来るのは久しぶりだから。折角だし地球の日本語で会話できたらなと思って会話を図ったんだけど、気分を害したなら謝るよ。あいむそーりー」


 心を読まれた。


「不愉快だって分かってるんなら心を読むの止めろよ!」

「あー、ごめんねー」

 こいつもう謝る気ないな! ぐぬぬ・・・!

「こいつ・・・あ・・・仕方ない」

 むかつく奴だが、よく考えるとこいつは僕がここにいる理由を知っているかもしれない。あまり責めると教えてくれないかもしれないので、仕方なく落ち着くことにする。

「まあいい、あんた誰? 僕はどうしてここにいる?」

「ん?気にしないんだ?クレバーだね」

「ああ」

「じゃあ説明するよ。僕はこの世界の神だ。だが、君らの言う万能の神じゃあない。そんなのは居ない。僕はシステムだ。そして――君は死んだんだ。」

 へー。こいつは神で、僕は死んだのかー。


「って死んだのか!?」

 だが死んだ記憶がない。


「そう、君は死んだ。死因は高エネルギーを浴びたことだね。原因は地震で壊れた加速器だ」

 あ、そういえば最後の記憶は加速器の断面がこっちを向いてて・・・


「――思い出した。加速した粒子を浴びて死んだ」

 楽に死ねたなぁ。と思う。痛くなかったし。


「そう。そして伝えることはあと半分ある。今のが前半分。そして残りは、君のこれからのこと――」

「これからのこと?」


 君は転生するのだよ。と言われたとき、周りの風景が変化したと思うと、僕はいつのまにかコタツに座っていた。


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