警戒
指摘されたのですが平日ではこの量を書くのが限界です。
数日かけて一話の文章量を増やすのと毎日で文章量が減るのとどちらがいいのでしょうか?
子供たちが帰ってこない。その知らせを聞いた時、俺はすぐにでも探しに行こうとした。しかし、他の村の連中に止められた。俺はヨルト、アルタの父親だ。この辺りは少ないとはいえ、夜になれば村の近くのほうまで魔物が寄ってくる。そんな中に戦闘経験もない俺達が行ってもすぐにやられてしまうだろう。悔しいが正論だ。
俺はその日の夜、眠れなかった。それでも、明日朝一で探索へ向かうために無理やり寝ようとした。アルタ達の無事を祈って。しかし、それでも眠ることはできなかった。
次の日、日が昇ると同時に村を俺達は飛び出した。村の男、総出での探索だ。女はもしかしたら帰ってくるかもしれないと思い、村に置いてきた。村の外は村から離れれば離れるほど魔物や危険な野生動物も増えていく。そんなところに妻を連れていきたくはなかった。
しばらくすると、村の近くで叫び声が聞こえた。人を集めている様子だ。
行ってみると、河のほとりに見たこともない洞窟が出来ていた。
「こんなところに洞窟なんてあったか?」
「いや、なかった。まさかここに……」
その後、少しだけ話し合って中を探すことにした。それぞれの子の父親と村で唯一、昔冒険者をやっていたという老人だ。名前をナンという。ナンは
「もしかすると、これはダンジョンかもしれん」
と言った。
「ダンジョン?」
「そう、ダンジョンじゃ。この辺りには出来ないものじゃったんじゃが、そうとしか思えん。ダンジョンは魔物の巣窟じゃ。本来ならもっと北のほうにしかできないはずなんじゃ。誰か、これを街まで行って伝えてきてくれ」
伝令を街に出すことにするがそんなのを悠長に待ってはいられない。
「子供たちがいるかもしれないんだ!早く行かないと!」
「まあ、待つんじゃ。ダンジョンは始めはとても弱い。最近出来たのならわしらでも十分行けるじゃろう。だが、武器もなしにどうやって行くつもりじゃ」
そうだ、武器がいる。村に確か護身用のものが少しあったはずだ。そうして、武器も持ってくる。ナンは魔道師だ。引退して老いた今でも初級魔法くらいなら使うことができる。これで準備はできた。
「油断は禁物じゃぞ。それに子供たちがいるとは限らん」
そんなことは分かっているがそれでも可能性があるなら行くしかない。それにここは子供たちの行動範囲内に入っているくらい村に近い。
中に入ると浅い川が続いていた。流れはとてもゆるやかで魔物が潜んでいるとは思えないくらいきれいな水だ。ゆっくりと歩を進める。少し進むと辺りが暗くなってきた。松明を使う。
「……なにこれ」
そこには蜘蛛の巣がそこらじゅうに張り巡らされていた。
「これは魔物の糸じゃな、触れるとおそらくそんな武器じゃ使い物にならなくなる、じゃが火には弱い」
そうして、ナンは呪文を唱えて蜘蛛の巣に当てる。蜘蛛の巣は簡単に燃え上がった。それを見て他のやつらも松明で火をつけようとする。
「いかん!すぐに戻れ!」
ナンの声が聞こえたときには既に遅かった。人の頭部ほどはあろうかという蜘蛛が迫っていた。そして、糸を吐き一人を絡めとって奥へ引きずっていった。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして、声が聞こえなくなった。
「今ならまだ助かるかもしれん。急ぐぞ」
ナンが急かす。だが、指揮は一人目の前でやられたことにより目に見えて落ちていた。
「イテッ」
何かが首元を刺した気がする。だが、そんなことはどうでもいい。
一瞬影が見えた。そう影が見えただけだ。その瞬間後ろで呪文を詠唱していたナンが崩れ落ちた。
「!?」
すぐに警戒をした。だが、無駄だった。暗い洞窟の中を電撃が迸り一人づつ倒れていく。
俺のところにもすぐに電撃が来た。体中が痺れる。
「アル……タ……」
完全に意識が途切れた。