第三話 魔王って…
来週から、一週間に一回~二回の投稿にしたいと思います。
なんかよく分かんねーけど、美形に跪かれて適当に言葉を言えば喜んでくれた。
…間違ってないってことだよな?
それに側にいてくれると助かるし。
たまに頭に情報が流れるけど、詳しくは分からないから。
「魔王様!」
「魔王様!」
「魔王様がお目覚めに…!」
それにしてもコレは何だ!?
なんかメイド服着てる耳が尖った奴…多分エルフだと思うけど、ソイツ等が俺を見て喜々してる。
他にもいろんな魔族?たちが俺を見て喜ぶ。
…魔王ってもっと恐れられる存在なんじゃねーのか!?
なんでこんなに慕われてんの!?
しかも、
「魔王様、どうぞ」
よくテレビで見る金持ちが使いそうな長-いテーブルがある部屋まで連れて行かれ、席に座れば目の前に出されたグロテスクな物。
…何だコレ。
「魔界にある最後のゼメガです」
ゼメガって何!?
てか魔界にある最後って…絶滅危惧種!?
そんなの食べていいの!?
目の前に出された者は、頭が二つある鳥の肉がぐちゃぐちゃになってるもの。
コレ食べれんのかよ!?
『ゼメガとは、魔界の高級食材。ほとんどは丸焼きで食べられるが、生を好んで食べる者もいる』
頭から流れた情報と目の前のものを比べる。
コレどう見ても丸焼きじゃねーよな?生の方だよな?
…絶対丸焼きの方がいいって!
生って…こんなもん生で食えるかよ!
高級食材ってマジありえねー!
本当は食べたくないが、周りからの視線がそれを許してくれそうにもない。
そんな期待した目で見んな!
俺がチキンだって分かってて見てんのか!?
泣きたくなる。
えっと…ここは一応ファンタジーっぽい世界だし、魔法とか使えんじゃね?
『この世界の魔法は特別な者しか使えない。魔族で言えば上級魔族から使えるが、魔力が少なければ簡単な魔法しか使えない。魔王はほとんどどんな魔法でも使える。一日で世界征服することも可能』
……チート過ぎるだろ!
一日で世界征服って…。
どんだけ強いんだよ魔王って;
唖然するしかほかない。
だが、唖然としている顔を皆が見ているなかで見せるわけにはいかない。
緊張するが、ゼメガに手をかざして念じる
「(照り焼き)」
そうすれば一瞬で生のゼメガが照り焼きになった。
わー、生が丸焼きになっただけでこんなに見た目が変わるとは。
しかも初めての魔法が上手くいったのが嬉しい。
普通に鳥の丸焼きと食べるようにゼメガの丸焼きを食べていると、俺に向けられる視線が強くなった。
気になるけど、見れないっ!
なんだ!?
何でこんなに俺を見てんだよ!
俺のチキンハートがビクビクしいてるから勘弁してくれー!
自分でも驚くぐらい早食いをして席を立つ。
あ、忘れてた。
「美味しかった」
それだけ言って部屋から出る。
後ろから声がするけど気にしない。
あー!恥ずかしかったよー!!