2、まずはLINEでともだち登録!
ファミレスのパフェは来るの早すぎる。
切りがいいとこまで~、やってから食う~
「何だよ、最近のガキは黒板を写真で写すのかよ、ラクばっかしやがって。」
「僕、目が悪くて見えないんだもん。」
「何年? 中学? 」
「高校だよ、2年。僕、ちょっと背が低いの。
パパもママも身長おっきいのに、なんでだろ? 」
まあ、いろいろあって年はキュンキュン18才だけど。
「ふう~ん、もうすぐ受験か。
なんでそんな物で髪くくってるんだ? それ女の子がするものだろ?
お前、なんか化粧してねえ? ケバい男だな、不気味だろ。
つけまつ毛なんかするなよ、キモイだろ。」
僕はサラサラヘアをピンクのシュシュで後ろにまとめてる。
内巻きボブにしたいけど、これがなかなかクセが付かない。
良く見てんなあ、このおじ。
だいたい僕の化粧した顔見ると、目を逸らすのに。
「可愛いの好きだから、お化粧もするし~ 」
「ふうん、可愛いねえ。それで傘も長靴も小学生みたいなの使ってんのか。
ほら、アイス溶けるぞ。」
「あっ、ヤバヤバ! 」
ぺろりん食べてると、ザンジバルさんがポケットから小さな箱を取り出す。
中から指輪を出すと、でっかいため息ついて、なぜか僕の小指に付けた。
「僕と結婚するの? 」
「やるよ、いらなくなったんだ。俺はたった今失恋したわけ。」
「そっか、傷付いた心を癒やすために僕が付き合ってるわけね? 」
「まあ、そう言う事だ。金は払っとくから、食ったら帰れ。」
そう言うと、ザンジバルさんが立ち上がる。
いやいや、ファミレスに1人って、僕が嫌なんですけどー
「食べ終わるまでいてよ、僕が1人は嫌なんだけど~ 」
「はあ? 俺は帰って泣きたいんだよ、わかる? 」
「わかんなーい。ザンジバルさん、指輪返すよ、援交と間違われるから。」
「えっ、」
思わずキョロ見して、僕が小指立てると、ああ、と指輪を抜いた。
「そりゃ不味い、お前さんより俺の方が捕まっちまう。」
「捕まんないよ、清い交際ならさ。」
「何だよ、その交際って。俺は女に振られたんだぞ。
変なガキだな。マジきもい。」
「いいじゃん、友達でスタートすれば。僕もヒマだし。」
いいATMになりそうだし~
「俺は友達ごときに金は一円たりとも使わないからな。」
「やだ、ドケチじゃん、だからフラれたんじゃね? 」
「うるせえ、お前何か趣味あるの? 」
えっ、趣味??
「そうだなあ、SNS荒らし。」
あからさまに嫌な顔する。おっさん虐めるの面白すぎる。
「なんて嫌なガキだ。」
「ザンジバルさん、どこ勤めてんの? 」
「誰が言うか、クソガキ。」
「ライン交換しようよ。」
「なんでそんなに積極的なんだよ、アホか。」
「いいじゃん、世界はみんな友達だよ。してして、交換して! 」
スマホ出して、QRコード出す。
くねくねしてると、チッと舌打ちながらスマホ出し、席で会計済ませて、まあいいかとラインで友達になった。
やりぃ! アイコンは赤い車かー、軽かな? 可愛い〜
「女の子紹介するとかは無しね。
あくまで僕とのお付き合いだからね! 」
「誰が連絡するかよ、お前変な奴だな。既読スルーだ。」
「うん、変な奴だからシカトされて一人で帰ってんの。」
「はあ?」
微妙に眉歪めて、どうしたものかと変な顔。
おっさんおちょくるとおもろい。
「ザンジバルさん、付き合ってくれないと僕、このビルから飛び降りるから。」
ここ平屋だけど。
「 えっ?! 」
バッと口を手で押さえ、おっさんは立ち上がると、慌てて自分のバッグ取り、嫌なものでも見るように下がっていく。
「ヤバいガキに引っかかった。」
なんかそう言い捨てて、結局帰ってった。
「やー、なんか虐めすぎたか。あれ? 」
窓から見てると、白い軽のバンが迎えに来た。
「やっだ、ショボいじゃん。外車ならパーフェクトなのに。」
ちょっとガッカリして溶けかけたアイスのとこ食う。
「あれあれ〜? 」
おっさんが座ってたとこに、リボン付いたブランド物の紙袋忘れてる。
中身見たらさっきの指輪もあって、指に付けてみる。
小指でぶかぶかだった指輪を、薬指に通してみた。
「おー、ピッタリじゃん。」
あとは、見たら超ブランドの可愛いバッグだ。
写真撮って検索したら、定価30万じゃん。
「うっは〜マジか、もらっちゃお。」
パフェ食べ終わって、ルンルンで雨の中帰る。
「今日は大漁だー! 」
僕はウキウキして家に帰ってった。




