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して! 〜 ノンケリーマンを攻略する方法  作者: LLX


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12/13

12、Tバックはダメだって!

結局、メシは駄目だけどパンツ買ってやるって、帰る前にデパートに来た。

僕はTバックやめろって言われたら、次どんなパンツ履こうか悩むんだよね。

ブリーフなんていやだし、トランクスもいやだ。


ザンジバルは男物の下着売り場でエスカレーター下りるけど、もう一階上の女物に行きたくて立ち止まる。


「ほら、カッコいいの教えてやるから。」


「でも、 ヤだもん。

パパりんみたいな白いパンツ履きたくないもん。」


「あー、四季島さんは白か~

いいから来て、黒いのとかカッコいいぞ。」


「黒いの? なんかエッチだね。」


ザンジバルが僕の手を引いて下着売り場に連れて行く。


「ほら、これ。ローライズのボクサーパンツ。

女物もあるんだよ、これなら抵抗ないだろ? 」


見本がパネルに着せてある。

あれ?? なんかカッコいい。


「ほんとだ、カッコいい。

雅史さん、これ履いてるの? 」


「いや、俺は普通のボクサーだな。もうちょっと上まである奴。

サイズは? お前細いからSかな? いや、結構プリンとしてたな。」


モヤモヤ思い出したのか、真っ赤になった。

クスッと笑って、サイズ見てMサイズの黒を手に取る。

うーん、Sでもいいけど、Mサイズでいいかな。

隣にマイクロサイズってのもある。

サイズ微妙なとこで意外と高いな。

僕のお小遣いじゃ、2枚にちょっと足りない。


「あー、マイクロは高校生にはちょっとエッチだからローライズにしとけ。」


「ピチッてしてるのと、ゆっくりしてるのどっちがいいの? 」


「ボクサーパンツはピチッとしてるほうがカッコいいかな。

でも、リラックスしたい時は緩いの履くな~

ほら、買ってやるから、1万で買えるだけ買え。」


「ほんと?! ありがとう! 雅史さん。」


「お前な~~、その雅史さんっての…… なんかハズい。」


「だって、雅史さんでしょう? 買ってくる! 」


「あっちで服見てるから。」


「うん! 」


Sを黒2枚とMの濃いグレー2枚持って、レジを探してお金を払いに行く。

こんなパンツあるの、知らなかった。

男物パンツは見ないようにしてたからなー

だって、写真がキモいもん。

でも、なんかちょっと大人になれるような気がして、ウキウキする。

雅史、最終回で満塁ホームランだよ!




雅史が服を見る仕草をしながら、嬉しそうにレジに行くマリルーの姿を見る。

モノトーンのワンピースがフワリと膨らみ、ヒラヒラと髪が踊る。


可愛いな……


は? 


「止め止め、気のせい。

馬鹿だろ、会ったの今日2度目だぞ。

もう会うことも無いんだし、あいつ男だぞ?

ガキも出来ねえ結婚なんて不毛だろ。」


常々同性結婚が話題になるたびに、子供も出来ない結婚に何の意味があるのかわからなくて、そう悪態突いては姉に時代遅れな奴だと言われてきた。

今だって考えは変わらない。


俺は普通に、女と結婚して、子供作って、普通の家庭作って……



「あら、雅史じゃない。」



聞き覚えのある声に、血の下がる思いで振り向く。

それは、先日プロポーズしようとして、待ち合わせをすっぽかされた彼女だ。

相変わらず栗色の髪は綺麗にカールされて、化粧もメリハリのある目元にゴージャスな美人、あの日は帰って泣くかと思ったのに、ショックで涙も出なかった。


でも、だ。

しかし、


あれ? そうだ。俺は彼女からは、別れをハッキリ言われたわけじゃない。

ここで会ったが、チャンス到来。


「輝美、この間はなんで…… 」


言いかけたとき、後ろから派手なスーツ着た男が現れた。

頭からつま先までブランドロゴ付けて、いかにも成金だ。


「輝美、待たせたね。外商の担当者がいなくて…… ん? こちらの人は? 」


「ああ、いえ、お友達なの。

ちょっと、勘違いされて困ってたから…… 」



は?? 勘違い??



ちょっと待て、お前俺に好きだとか言ってキスしたじゃん。

俺はお前にねだられたバック、散々悩んで喜ぶなら仕方ねえって買いにいって、雨ん中待ってたんだぞ?


あっ!

あっ!


この野郎! 二股かけてやがったな?!


「いや、勘違いじゃねえだろ、お前さあ、」


「あたしと付き合いたいなら、外車くらい買って下さらないと。

なにあれ、小さい車。

あたし、ああ言う小さい車って、チョロチョロネズミみたいで酔うのよ。

ごめんなさいね。」


随分ご丁寧に俺のマッツー(MAZDA2)、ディスってくれるじゃねえか。

あれでも4WDの上のグレードなんだぞ。

この野郎、お前なんか乗せるんじゃ無かった。

何だこのキザ男、笑ってやがる、くっそ腹立つ。



「雅史さん、お待たせ! 」



マリルーの声に振り向くと、満面の笑みで大事そうに包みを抱いている。

ちょっと首傾げる姿が可愛い。

なぜか、心の底からホッとした。


「雅史さんのおかげで助かったわ。

私、男物下着にうとくって。

こちら、お友達の方? おばさまこんばんは、素敵なご夫婦ですね。」


「お、おば…… ?! 」


マリルーはピョンと雅史にすり寄ってくると、腕を組んでもたれかかってきた。


「あ、あのバッグ…… 」


輝美がマリルーのバッグに目が行った。


「あ、これ素敵でしょう?

雅史さんがね、ポーンと買ってくれたの。私、高価だからいらないって言ったのに。

可愛くて素敵でしょ! 雅史さん、大事にするわね。」


「あ、ああ。」


雅史が、チラリと輝美を見る。

輝美の顔が、みるみる真っ赤になった。


「あ、あたしの時は…… 」


ギリギリ歯がみする輝美の横で、成金の男がマリルーを見て呆然と顔を赤くした。


「か、可愛い…… 」


やっぱりーーー!!

な?! やっぱマリルー可愛いんだよ。うんうん


「ね、雅史さん、遅くなるから行きましょうよ。

あの、可愛い車で送って下さるんでしょう?

うれしいわ、ライトのキュッとつり目が可愛くて、あの深みのあるレッドが大好き。」


「あ、ああ、行こうか。じゃあ、な。お幸せに。」


輝美と男は、呆然とマリルーを見つめながら、返事も出なかった。

それほどその時のマリルーは綺麗で、可愛らしくて、パンツ抱いた姿は輝いて見えた。

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